新型コロナより怖い、老人抹殺社会の現実が忍び寄ってきている。「老人はもう長生きしない。なぜなら、老人を殺してもおかしくない社会になっているからだ」――。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が明かす、驚愕の事実。超高齢化社会ニッポンが抱える問題点を明らかにする。本連載は小嶋勝利著『もはや老人はいらない!』(ビジネス社)から一部を抜粋、編集したものです。

介護事業は論理的なビジネスではない理由

これからの介護事業は「複雑系」を理解しなければ、経営が成り立たない

 

日本の介護事業を海外に輸出しようという動きがありますが、今のやり方を見ていると、うまくいくとは思えません。なぜでしょうか? 

 

小嶋勝利著『もはや老人はいらない』(ビジネス社)
小嶋勝利著『もはや老人はいらない』(ビジネス社)

その理由は簡単です。日本の介護事業は論理的なビジネスではないからです。情緒的な理解の上に成り立っているビジネスなのです。だから日式介護を海外へ、と言ったところで、そう簡単に輸出できるわけがありません。

 

全国展開している多くの老人ホームでは、高級ホームから低価格帯のホームまで、さまざまなホームを運営しています。高級ホームの介護職員に欠員が生じたからといって、低価格ホームの介護職員を異動させることができるでしょうか? 論理的には可能ですが、現実的には不可能です。理由はホーム運営に対するフォーメーションがまったく違うからです。つまり同じ企業内にあっても、高級ホームと低価格ホームとはまったく別の運営なのだと理解しなければなりません。

 

要は、介護事業は規模の利益を享受することは難しいということになります。介護職員の多くは企業ではなく、その事業所に帰属しているという意識が強くあります。同一法人であるにもかかわらず、Aホームは職員が余っているために人件費が高くなり、Bホームは職員が足りず、人材紹介会社へ支払う紹介手数料が莫大になっているという不可解な現象が普通に起きているのです。

 

老人ホームをはじめとする介護保険ビジネスの場合、一般的な企業運営とは少し違う手法で経営をしていく必要があると気がつかなければなりません。世間一般的に近しい関係であるとされている医療とも違います。私の感覚で申し上げると、寺院の経営に一番近いような気がします。

 

小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

 

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