新型コロナより怖い、老人抹殺社会の現実が忍び寄ってきている。「老人はもう長生きしない。なぜなら、老人を殺してもおかしくない社会になっているからだ」――。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が明かす、驚愕の事実。超高齢化社会ニッポンが抱える問題点を明らかにする。本連載は小嶋勝利著『もはや老人はいらない!』(ビジネス社)から一部を抜粋、編集したものです。

売り上げに占める人件費率は55%程度

多くの老人ホームの場合、売上に占める人件費率の割合は55%程度であればよいとされています。私は50%以内を目指すべきだと考えていますが私の知る限り、人件費率が60%を超えているホームもけっして少なくありません。酷いところは70%を超えてしまうところすらあります。

 

小嶋勝利著『もはや老人はいらない!』(ビジネス社)
小嶋勝利著『もはや老人はいらない!』(ビジネス社)

なぜ人件費が過多になってしまうのでしょうか? その理由の多くは、職員の退職にあります。本書では、介護と医療は似て非なるものであるという説明を繰り返ししています。職員の退職の問題も、実は医療とまったく違うものが存在しています。A職員が退職をしたとします。1名の欠員が出たので、新たに1名、B職員を採用します。ことはこれで足りるでしょうか? 皆さんは、新人のB職員が他の介護職員と同じレベルで仕事ができるようになるまで、いったいどのくらいの時間がかかると思いますか?

 

病院の看護師の場合、新参者であったとしてもカルテがあるので、知識や技術、経験があれば、今すぐにでも一人前の仕事をすることが可能です。しかし介護の場合、そうはいきません。

 

想像してみてください。あなたは新人の介護職員です。今、目の前に100人の入居者が食堂で食事をしようとしています。厨房から1人用のトレーに乗った食事が届きます。介護職員であるあなたは、この食事を入居者の元に配膳しなければなりません。当然、トレーには入居者の名前が記載されています。入居者の顔と名前を暗記している先輩職員は、トレーを次々に入居者の元に配膳していきますが、誰がどこに座っているのか、入居者の名前と顔が一致していないあなたはおろおろするだけです。先輩職員から、「Aさんは前から3列目の窓側に座っている赤いセーターを着ているおばあさんです」と教えられなければ仕事になりません。

 

介護の場合、介護職員が一人前に機能するには多くの経験や知識、技術があったとしても、1カ月間ぐらいは一人前の仕事ができないということなのです。したがって多くの退職者が出る老人ホームの場合、その退職者の仕事を埋めるためには、3人退職したら3名の補充では足りず、5名の補充をしなければなりません。そのため人件費が過度にかかるようになっているのです。

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