自立の高齢者は介護付き老人ホームは必要ない
要介護高齢者と自立の高齢者は、まったくの別物である
一言で高齢者とくくっても、実態はさまざまです。ここでは、自立の高齢者と要介護高齢者について論じていきます。老人ホームへ入居を考えている多くの高齢者やその家族の中には、まだまだ次のようなことを考えてホーム選びをしているケースが散見されます。
今はまだ元気で仕事もできるが、将来のことを考えて早めに老人ホームに入居をしよう。ついては、自分がどのような状態になっても追い出されない介護サービスがバッチリ付いた老人ホームを選ばなくてはならない、と。たしかに、この考えは合理的な考え方だと思います。また私の同業者の中にも、このような説明をして自立の高齢者に対し、介護付きの老人ホームを提案する人たちも数多くいます。
しかし私は、この考えに同意することはできません。反対の理由を説明します。
老人ホームと入居者との関係性で検証した場合、多くのケースで老人ホームは当事者やその家族にとって、オーバースペックになっています。オーバースペックとは必要のないサービスが付随し、そのサービスに対し余計な費用を支払っている、という状態です。そんなことを言ったって、大は小を兼ねるではないけれど、いろいろな介護サービスが付いていたほうが安心ではないか、との指摘をしたい人も多いと思います。
よく考えてみてください。たとえばクレジットカードの場合、一般カードからゴールドカード、プラチナカード、ブラックカードまでさまざまな種別のカードがあります。皆さんはどのような基準でカードを選んでいますか?
「ステイタスや優越感が重要だ」という目的であれば、多額の年会費を支払ってもプラチナカードやブラックカードを持つこと自体に、一定の合理性はあると思います。しかし、「ステイタスなど不要だ」と考えている人の場合、多額の年会費を支払ってまでプラチナカードなどを持つ必要はありません。
もちろん、そのカードに付随している保険やその他のサービス、特典を冷静に考えた結果、自分にとっては具体的に「得だ」と判断できるケースはあります。年がら年中仕事などで海外に行っている人は、そのつど掛け捨ての海外旅行用の保険に入るよりも、ステイタスカードに加入したほうが「安い」「得だ」ということはあるでしょう。
しかしです。何度も海外旅行には行かず、高級レストランにも行かない多くの方の場合は、そのようなカードに入会しているメリットはありません。要は、日頃から便利にカードを利用することができればよいのですから。