夫婦のみ無職世帯の支出「月23万円」対して年金額は…
文部科学省の調査では、たとえ小学校から大学まで公立・国立に通わせたとしても前述の塾などの月謝を含めた教育費の合計は約900万円。それが小学校から大学まですべて私立で、しかも大学は理系にすると教育費の合計は約2200万円となります。
子ども2人の家庭なら合計4000万円以上。一般的なサラリーマン家庭の収入だけではどう考えても赤字です。当然家族みんなで旅行にも行くことができません。
かといって子どもの教育には手を抜きたくない、というのが多くの親の気持ちでしょう。
■年金をあてにした老後の計画はあまりにも危険
仮に定年まで何とか乗り切ったとしてもその先があります。老後にお金がないというのはさびしいものです。
総務省の調査(2018年)によると、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯の支出額は1世帯当たり月23万5615円。このうち20万3824円は公的年金などの収入でまかなっています。では残りの3万1791円はどうするかといえば、不足分として預金などを切り崩す必要があるわけです。
日本人男性の平均寿命が約80歳として、最低でも15年は毎月23万5615円の支出が続くと、いくら必要か計算してみましょう。
23万5615円×12か月=282万7380円(1年間に必要なお金)
326万9460円×15年間=4241万700円(老後に必要なお金の総額)
これからの日本は、世界中のどの国も体験したことのない超高齢社会を迎えます。そのため年金は、サラリーマンなどの現役世代が保険料を支払い、その保険料で高齢者世代に年金を給付するという「世代間扶養」の仕組みが今後も維持できるとは誰も言い切れません。仮に維持できたとしても受給額は、確実に今よりも減るでしょう。
事実厚生労働省は、このまま経済が成長しなければ、皆さんの世代が年金を受け取るときの金額は、現在の約63%から約35%にまで減ると試算しています。
年金をあてにした老後の計画はあまりにも危険といえます。まったく出ないということはないとしても、安心のためにはたとえ年金がゼロでも暮らしていける蓄えが必要です。前述の計算でいえば定年を迎えた時点で約5000万円貯蓄があればひとまず安心といえそうです。