どうやって老人ホームを選んだらいいのか? それには入居者の生の声を聞くのが一番と、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営する著者は断言します。そこで著者は、数々の入居者のエピソードを通して、ホームでの暮らしの悲喜こもごもを紹介。現在、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営する著者が、実は知らない老人ホームの真実を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『老人ホーム リアルな暮らし』(祥伝社新書)の抜粋原稿です。

老人ホームの実態は多様性の坩堝。しかし……

「多様性」。最近よく聞くキーワードです。老人ホームとは、まさに多様性の坩堝です。多くの老人ホームでは、フロアや建物ごとに入居者の区別をして管理しています。2階は認知症のフロアとか3階は自立者のフロアとA棟は介護棟、B棟は自立棟などという具合です。しかし、これは最初だけで、しばらくすると、この区分は徐々に崩壊していきます。原因は何でしょうか?

 

一番の原因はいたって単純。フロアの空室に対し、上手くニーズに合った入居者を入居させることができないからです。認知症フロアの空室は0室。でも自立者向けフロアの空室は5室ある場合、会社側は空室を早く埋めたいと考え、早々に理想とする介護を捨てて、多少の認知症状なら「問題なし」と結論をつけて自立のフロアに入居させてしまうからです。

 

私の経験上、このケースは、ホーム運営に対しどこのセクションが力を持っているかによって、変わってくるように思えます。どのような決断になっても、全社的なコンセンサスがない場合、会社内から不平不満の声は上がってきます。

 

経理などの経営に近いセクションからは、「入りたいと言っている入居者がいるのだから、はいどうぞと入居を許可すればいいだろう」となり、介護現場からは「今の介護職員の能力を鑑みた場合、これ以上排泄介助と入浴介助の必要な入居者の受け入れは不可能。このようなニーズのない入居者を入れてほしい」ということになります。

 

小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

 

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