どうやって老人ホームを選んだらいいのか? それには入居者の生の声を聞くのが一番と、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営する著者は断言します。そこで著者は、数々の入居者のエピソードを通して、ホームでの暮らしの悲喜こもごもを紹介。現在、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営する著者が、実は知らない老人ホームの真実を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『老人ホーム リアルな暮らし』(祥伝社新書)の抜粋原稿です。

持ち家に住み続けると若者がいなくなる

持ち家があるのだから、最後まで自宅で暮らすのは当たり前?

 

持ち家があるのだから最後まで自宅で、という考え方はわからないわけではありません。なにより経済的です。しかし、いつまでも持ち家に居住することが本当に正しい選択なのでしょうか。

 

以前、こんな話がありました。老人ホームへの入居相談の中で、入居する資金は年金と持ち家の売却で計画で話を進めていたところ、持ち家が売れない、つまり資産価値がないという理由で頓挫したことがありました。かつては、一世を風靡したトレンディな住宅地だったのですが、今では住民の多くが高齢化し、若者が存在しない「限界集落」になってしまったので、住みたい人がいなくて売れなくなってしまったという話です。

 

いつまでも持ち家で暮らすことが正しい選択なのか。(※写真はイメージです/PIXTA)
いつまでも持ち家で暮らすことが正しい選択なのか。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

持ち家とは、親から子供に受け継がれることを前提に作られているはずです。

 

持ち家も次世代に受け継ぐことができれば、子供が生まれ、小学校や中学校に通うニーズが出現するので、永久に小学校は存在しますが、現実はそうなっていず、廃校になる小学校が目立ちます。多くの人は少子化、高齢化の影響だと片づけてしまいますが、この問題は、少子化ではなく持ち家を原因とする核家族化の影響だと私は考えています。

 

だから、持ち家を持っている高齢者は次のことを考えなければなりません。一つは、子供に持ち家を引き渡すこと。もう一つは、子供が持ち家は不要であれば、子供世代の若者に持ち家を引き渡すことです。引き渡した後は、自分のライフスタイルに便利な住宅に移り住めばよいのです。高齢者夫婦の場合は、郊外の一戸建ては不便です。都心の駅近のマンションのほうが生活はしやすいはずです。

 

逆に、一気に地方に移住することを考えても良いのではないでしょうか。生まれ育った故郷に移住するという方法もあります。さらに、どちらかが亡くなり、又は要介護状態になった場合は、サービス付き高齢者向け住宅という選択肢もあります。もちろん老人ホームという選択肢も可能です。いずれにしても、持ち家に住み続けることで、よい結果が出ないケースがあるということを理解しなければなりません。

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誰も書かなかった老人ホーム

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老人ホーム リアルな暮らし

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