「24時間看護師常駐」は老人ホームに不要だと断言するワケ

24時間看護師常駐は本当に必要なのか

老人ホーム選びもこれと同じです。

どうしてもステイタスが欲しい。それが重要なんだという方は、どうぞ高級老人ホームといわれているホームに入居すればよいと思います。しかし老人ホームにステイタスなんか求めてない、重要なことは生活の場として居心地が良いことだという方は、次の説明を読んで冷静に検討をしてください。

小嶋勝利著『もはや老人はいらない』（ビジネス社）

24時間看護師常駐は、本当に必要なサービスなのか？

はじめに私の考えを明記しておきます。私は、老人ホームで24時間看護師が常駐している必要はないと考えています。皆さんがどうしても〝看護師は必要だ〞というのであれば、勤務している看護師の実績を確認する必要があるということを明記しておきます。つまり常駐している看護師の質の確認をしなくては、常駐しているメリットを判断することができないのです。

入居希望者かその家族の陥る勘違いの最たる例が、「24時間看護師常駐ホーム」への信仰心です。24時間看護師常駐ホームとは何かと言うと、その名の通り24時間365日にわたり看護師が常駐しているホームです。当然、24時間看護師が常駐している分、経費が掛かります。したがって利用料金も近隣の同等グレードの老人ホームと比べて、数万円程度割高になっています。

つまり入居後に、その余計な数万円の負担に対する優位性を「看護師」が配置されているという事実で見出せるかどうかを判断しなければなりません。

具体的な例で考えていきましょう。Dさんは1日を通して定期的に吸引などの医療処置をしなければなりません。この場合は当たり前ですが、数万円の費用を余計に負担しても、夜間も看護師が配置されているホームに価値は存在しています。なお現在は、訓練をしっかり受けた介護職員であれば、一定の医療処置まですることを許されていますが、やはりそこは看護師有資格者に対する安心感には代えられません。

しかし現実はと言うと、24時間看護師常駐ホームに喜んで入居している人の多くに具体的な目的は存在しません。「何かあった時に看護師がいると安心だ」という漠然とした理由で数万円の余計な費用を支払っているのです。中には24時間看護師常駐という事実に対し価値を感じ、その費用を支払っている人もいると思います。看護師がいるので気持ちが安心するのであれば、自分を落ち着かせるための安心料であるという割り切った考え方もありだとは思いますが……。

しかし、よく考えてみてください。もし夜間にあなたの体調が急変した場合、その後の対応はどのようになるのでしょうか？　多くの場合、ホームが救急車を呼び、病院へ搬送してもらうだけです。当然、多くの入居者が生活をしている老人ホームの場合、看護師があなたに付き添って一緒に救急車に乗り、病院に行ってくれることはまずありません。救急隊が来たら後は彼らに引き渡されるだけです。