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目標達成のカギを特定し、適切な指標を設定する
代表的な経営管理手法の一つに、KPI（keep performance indicator）管理があります。「keep performance=事業成功のカギ、indicator=指標」ということで、事業成功のカギを数値目標に落とし込む手法です。このKPI管理ですが、まさに「言うは易く行うは難し」。経営の基本でありながら、多くの企業・経営者が実践に苦労しています。我々経営コンサルタントが経営再建のお手伝いをする際、最初にサポートするのがKPIの見極め・再設定・運用です。
プロセスとしては、大きく2段階に分かれ、（1）KPIの設定、（2）KPIの運用・改善となります。
（1）「KPIの設定」
優れたKPI設定をするためには、最終目標・ゴールを明確にします。これをKGI（Key Goal Indicator：重要目標達成指標）と呼びます。大事なことは、KGIを明確にしたうえで、それを達成するための最も重要なプロセスを見抜くということです。
この重要達成プロセスを書籍や人によって、CSF（Critical Success Factor）やKSF（Key Success Factor）と呼ぶことがあります。呼び方はいずれであれ、どんなプロセスやアクションが最終目標やゴールに最も影響を及ぼすのかを明らかにすることが大切であり、映画『マネー・ボール』のアスレチックスの例であれば「勝利」という目標に対して、重視すべきプロセスやアクションは「得点を増やす。そのために、出塁すること」でした。
そして、出塁というプロセスを増やすためには、シンプルに「出塁率＝KPI」を増やせばよく、必ずしも「打率」が重要ではないと気づくことが出来たのです。実際の経営の現場でも、まずは「客単価アップは本当に売上増に繋がるのか」などと自問自答して思い込みや主観を排除しましょう。そして、最終目標から要素分解を行い、それぞれの因果関係が成り立っているのかを丁寧に確認していくとよいでしょう。
こんな時に、経営陣よりも自社知識・業界知識が乏しくとも、経営観点とロジカルシンキングに長けた経営コンサルタントがいれば、思いがけない新たな気づきや発見を得ることができます。
（2）「KPIの運用・改善」
KPIを設定した後は、日々その指標を活用し、改善していくことが必要です。特に、タイムリーに数字を把握できるかどうかで、経営改善のスピードが変わってくるのですが、そのためには社内の仕組み構築や、従業員の意識改革、組織開発まで必要になるケースが多々あります。
大企業から中小企業・ベンチャーに転職した方からよく伺うのは、データの所在がわからない、タイムリーに共有されない、といった話です。組織が小さいほど、風通しよく情報伝達の精度やスピードが良さそうですが、一概にそうではありません。上記のような実態も踏まえて、KPI管理する指標はできるかぎり1つに絞り込むことが理想です。1つに絞り込むことで、情報収集のみならず社員の意識・目線合わせもラクになり、注力できます。
KPI管理は企業経営・事業運営の場面以外にも有効です。ダイエットや勉強といった日常シーンでも、実践力を磨くこともできます。ダイエットであれば具体的な目標体重を設定し、重要プロセスを特定して、指標を管理するのです。
昔はジョギングや有酸素運動を始める方が多くいましたが、本当に目標達成するためには、糖質制限や代謝率を高めるための筋力トレーニングが有効な場合もあります。ムダな努力ほどもったいないものはありません。経営にかぎらず、スポーツでも日常生活でも「成果をあげる」ことに執着して、KPI管理を実践することで、成果が飛躍的に高まるでしょう。
森 琢也
MASTコンサルティング株式会社パートナー 中小企業診断士
プロフェッショナルコーチ
