キーワードは「DX」…コロナ禍のビジネスモデル変革
「DX」という言葉が持て囃され、このキーワードを足掛かりにシステム導入の営業攻勢を行っているIT企業も多い一方で、「IT革命」や「Web 2.0」といった言葉とともに、既視感を覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「DX化」を声高に叫ぶ経営者や部長に、「そもそもDXについて具体的に何をイメージしていますか?」と問うたところ、相手が言葉に詰まってしまった、または、出てきた話はデジタル化による一般的な業務改善レベルの話だった、という笑い話を耳にする機会も増えています。
一方で、コロナによる社会変化が起きる中で、対人接触機会を減らしつつ、売り上げ確保を目指す、デジタル活用によるビジネスモデル変革(=実直なDX)が求められているのも事実です。
実は、コロナ禍でも「増収した企業」は25%以上
TVやネットニュースでは、連日コロナ影響で苦境に陥り、困窮する企業や経営者が取り上げられています。しかし、筆者が務める中小企業診断士の資格更新研修や士業仲間との情報交換会(※いずれもオンライン開催)で参加者同士の意見交換に耳を傾けると、「業界問わず、コロナでも売上を伸ばしている企業は一定数いる」という話題が多く出ます。特に企業の業績を月次で把握している税理士の方々から、そのようなお話を伺うケースが多いと感じます。
実際に、興味深いデータが『2021年版「中小企業白書」』に掲載されています(図表1)。従業員規模別にみた2020年の売上高の調査データですが、どのカテゴリーの企業も約25%が増収と回答しています。マスコミ報道だけを見ていると、あたかもすべての企業がコロナ禍で売上減少に苦しんでいるように感じますが、実態は異なっているかもしれません。
では、コロナ禍によるビジネス環境の変化に適切に対応し、好調に成長する企業とは一体どのような企業でしょうか? 飲食業界でも、記録的な単月売上を達成した大田区久が原にある老舗とんかつ店のエピソード等がありますが、当記事では、宮城県を拠点に戸建て住宅事業を展開する、株式会社あいホーム(本社:宮城県富谷市)のDXへの取組事例を基に考察を行います。