(※写真はイメージです/PIXTA)

今回の東京オリンピックで、トヨタ自動車が「日本国内におけるオリンピック用TVCMを中止する」という衝撃の発表をしました。五輪スポンサー企業として10年間で2000億円も投資してきたトヨタが、特に宣伝効果が高いとされるTVCMの中止を決めたのは、一体なぜなのでしょうか。中小企業の経営支援を幅広く行う筆者が、最近のマーケティングや広告戦略の変化を踏まえて考察します。

トヨタ、衝撃の発表…「五輪用のTVCMは放送しない」

コロナ禍で開催した東京オリンピックが2021年8月8日(日)に閉幕しました。賛否両論あった本大会が終わり、五輪ムードは落ち着きを取り戻しています。

 

色々なバタバタがあった今回の祭典ですが、例の開会式問題が過熱していた7月19日、営業やマーケティングに従事する専門家やビジネスパーソンにとって、衝撃的なニュースが流れました。長年ワールドワイドオリンピックパートナー(大会スポンサーの最高位。10年間で2000億円の契約料)として契約してきたトヨタ自動車が、今回、オリンピック用TVCMを放送しないことを発表したのです。

 

これまでの莫大な投資を考えると、耳を疑うような判断ですが、オリンピック用TVCMを中止したことでのメリット・デメリットを含めてどのような意図や戦略が考えられるのでしょうか? 最近のマーケティングや広告戦略の変化を踏まえて、考察してみたいと思います。

自動車業界にとって、五輪CMを使わない手はないはず

オリンピックは、多くのスポーツ選手が国を代表して複数の競技で競い合い、日本中の人々が自国を熱狂的に応援します。そのため、オリンピック期間中に放映されるCMは多くの視聴者数が見込めることから、広告効果が高いといわれています。

 

さらに、オリンピックの目的は『世界平和』であり、この大イベントをサポートすることで、オリンピックが持つイメージをうまく自社のイメージに取り込むことができ、ブランディングを行う上でも効果的です。

 

もしトヨタのようにワールドワイドオリンピックパートナーとして、世界各国でCM展開を行う場合、広告・ブランディングによる経済効果は数兆円規模となり、企業イメージや自社の商品・サービスを一気に認知・拡大することも可能です。

 

従来、オリンピックビジネスは特定のスポーツビジネスと違い、複数の競技を同時開催することで、テニスファン、陸上競技ファン、サッカーファンなど、様々な層を惹きつけ、マス(大衆)マーケティングに効果的だとされてきました。

 

マス(大衆)をターゲットにした保険、自動車、飲料、銀行、IT、住宅業界などと親和性が高いことから、これらの業界に属する企業にとってオリンピックCMというマス・マーケティングで、自社商品の認知・拡大、ブランディングによる企業イメージの向上を行うことが一般的でした。

次ページ五輪用CMを取りやめた「表向きの理由」と「真意」

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