日本各所に点在する、高級住宅地。どのようにして高級住宅地となったのか、その資産価値はどれくらいなのか。富裕層が住む、知られざる高級住宅地のストーリーを紐解いていきます。今回ご紹介するのは、品川区・長者丸。

地名なきあとも愛され続ける「白金長者丸」

品川区上大崎2丁目の邸宅街/PIXTA
品川区上大崎2丁目の邸宅街/PIXTA

 

JR目黒駅から目黒通りを進み細い路地に入っていくと、やたらと敷地面積の広い高級住宅地が広がります。住所でいうと「品川区上大崎2丁目」の一角。目黒から五反田、大崎にかけての山手線の内側には、いわゆる「城南五山」と呼ばれる、知られた高級住宅地がありますが、そのうち上大崎3丁目の「花房山」の北側にあたるエリアです。

 

北は恵比寿ガーデンプレイス、東は首都高速二号線と国立科学博物館附属自然教育園の広大な森に、かつて香淳皇后の叔父にあたる朝香宮鳩彦王の邸宅だったことから旧朝香宮邸とも呼ばれる東京都庭園美術館、西にJR山手線に囲まれるこの地域は、知る人ぞ知る「白金長者丸」と呼ばれる高級住宅地。1967年に行われた地名の統廃合により住居表示には残っていませんが、縁起のいい地名はいまなお愛され、いまなお、駐在所やマンション名などに使われています。

 

その地名はさかのぼること、応永年間(1394~1427年)。白金に移り住んだ豪族、柳下上総之介が大量の銀を持っていたことから、一帯は「白銀=白金」といわれるようになり、柳下家は代々「白金長者」と呼ばれていたといいます。その子孫が現在の長者丸付近に屋敷を構えたことから、「長者の城郭(=丸)」、そして「長者丸」と名が付いた、といわれています。

 

この一帯は、北で東京メトロ日比谷線とJR山手線が接続する「恵比寿」、南で東急電鉄目黒線とJR山手線、東京メトロ目黒線、都営地下鉄三田線が接続する「目黒」に近接のエリアで、交通利便性から幹線道路沿いには単身者向けのマンションも建ち並んでいます。

 

その一本奥に入ったエリアは、よく知られた高級住宅地がそうであるように、第一種低層住居専用地域が広がっています。高台に洋風の邸宅のほかギャラリーのようなモダンな邸宅が並び、決して道幅は広くはありませんが開放感が漂います。

 

[図表1]品川区長者丸エリア周辺図

 

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