Case2:病気を抱えた両親の財産を守りたい
B様は奥様とともに、先代から引き継いだ都内の賃貸用不動産を大切に使用し、家賃収入を得ていました。ご夫妻は現地にこまめに足を運んで物件の維持管理、清掃などにも努めていましたが、数年前にB様が寝たきりの状態になってからは、奥様ひとりで不動産の管理をしなければならなくなりました。
このような状況を背景として、B様のご長男から、ご両親の賃貸用不動産の管理方法と相続対策の相談を受け、「サブリース(転貸)方式」の不動産管理会社設立を提案することになりました。
この方式では、B様が所有する賃貸物件を管理会社に一括して貸付け、管理会社は借上げた物件の家賃(満室賃料の85%程度)をオーナー(B様)に支払います。外部から入る家賃収入とオーナー(B様)へ支払う家賃との差額が会社の管理手数料収入となり、会社はこの収入の中から各種経費や取締役(ご長男)に役員報酬を支払う流れとなります。
B様と奥様は賃貸用不動産に関する業務全般を管理会社に任せることができ、空室による家賃減少のリスクも回避できることとなります。管理手数料収入の算定根拠や、賃貸借契約の締結、費用負担の方法などを明確に行うことが必要であることも併せて説明しました。
「不動産所有方式」と「サブリース方式」の比較
「不動産所有方式」のメリットは、
①不動産を「株式」として承継できること
②生前の所得分散効果が高いこと
③相続時には、建物は個人の財産から除かれ、賃貸不動産の敷地(土地)についても貸宅地等として評価することにより相続対策ができること
などが考えられます。
A様の事例では、財産を承継する3人のお嬢様に平等に財産を相続させたいという要望を重視し、不動産を、分割可能な「株式」として相続承継できる「不動産所有方式」による管理会社設立を選択しました。建物の敷地となる土地については、A様の相続時には奥様が相続をし、奥様の二次相続までに次の相続人を決めることになっています。
「サブリース(転貸)方式」のメリットは、
①少ない資金で管理会社の運営を開始できること
②生前の所得分散効果
③建物を一括で管理会社に貸付けるため、相続時には賃貸割合100%の貸家として建物を評価することができ、相続対策にも有効であること
などがあります。