2019年に厚生労働省が発表した人口動態統計月報年計(概数)の概況によると、2018年の出生数は91万8,397人となり、調査開始以来の過去最少の数値を記録しました。一方で、同年における65歳以上の人口は3,515万人。総数の27.7%にものぼります。まさに「超少子高齢化」が進む日本ですが、それに伴い深刻化しているのが「空き家」問題です。本記事では、我が国における「空き家」の実態を解説します。

価値観が変わり、居住形態にも変化が訪れた

かつては「自立して家を建てる」とか「郊外の高台に住む」ことが、人生において一つの目標であり、憧れの人生モデルであったものです。もちろん今でも住まいの選択肢の一つではありますが、バブル期やその後のリーマンショック以降、価値観の多様化は進み、誰もが同じゴールを追いかけることは少なくなってきています。

 

景気が低迷するなかでリストラの憂き目に遭ったり、非正規雇用の状態に甘んじたりしていれば、自分の家を持つことすら叶わぬ夢です。また男女ともに結婚年齢が上がって少子化も進み、生涯未婚率も高まっています。

 

価値観が変われば住まいも変わります。職住近接の傾向も高くなり、郊外に広い家を持つよりも、利便性を重視して「狭くても交通の便の良い場所に住みたい」と考える人も増え、都会で「コンパクトに暮らす」ライフスタイルを選ぶ人も少なくありません。人と同じ夢や理想を持つ時代ではなくなっているのです。

 

またバブルさえ知らない若者たちは身の丈以上の生活を望まないケースも多いといいます。都市部に住んでいれば車を持たなくても生活できますし、賃貸でもシェアハウスを選ぶなど、憧れや見栄よりも「実」を優先する傾向にあることが分かっています。

 

こうして社会構造や人々の想いが変わっていくなかで住まいのあり方も変わり、結果的に日本全国に増えているのが、「空き家」の問題です。

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これからのマンションに必要な50の条件

これからのマンションに必要な50の条件

熊澤 茂樹,安井 秀夫

幻冬舎メディアコンサルティング

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