2019年に厚生労働省が発表した人口動態統計月報年計(概数)の概況によると、2018年の出生数は91万8,397人となり、調査開始以来の過去最少の数値を記録しました。一方で、同年における65歳以上の人口は3,515万人。総数の27.7%にものぼります。まさに「超少子高齢化」が進む日本ですが、それに伴い深刻化しているのが「空き家」問題です。本記事では、我が国における「空き家」の実態を解説します。

団塊ジュニア全員が50代になる2025年、何が起きるか

これからの住まいの問題を考えるとき、少子高齢化、人口減少が加速している現状を知ることが欠かせません。日本の人口は実際にどのような推移をたどっているのでしょうか。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

総人口は2010年の1億2806万人をピークとして、緩やかに減少に転じています。そのなかでも注目したいのは、全体数は減少しているにも関わらず、年齢による区分で見ると後期高齢者(75歳以上)の層は広がり、それと呼応するように生産年齢人口(15〜64歳)が減りつつあることです(総務省「国勢調査」より)。

 

[図表1]日本の人口ピラミッド 出所:総務省統計局「人口統計(平成28年10月1日現在)」より
[図表1]日本の人口ピラミッド
出所:総務省統計局「人口統計(平成28年10月1日現在)」より

 

縦軸を年齢(上にいくほど高齢)とした「人口ピラミッド」のグラフで見ると、突出したふくらみが二つあります。一つは1947〜1949年に生まれた「団塊の世代」の層、もう一つは、彼らの子どもたちである団塊ジュニアの層です。人口の推移を考えるとき、戦後を支えてきた団塊の世代が後期高齢者となり、団塊ジュニアの層すべてが50歳代になるのが2025年であり、高齢化がますます進み社会構造が大きく変化していくことが分かります。

 

また人口と住宅の関連でいえば、単身世帯、夫婦のみの世帯、一人親と子の世帯は増加傾向にあるものの、世帯当たりの人数や世帯数そのものは緩やかに減少していく見通しです。ただし大都市圏と地方でも若干異なっています(都市と地方の違いについては書籍『これからのマンションに必要な50の条件』で触れています)。

 

単身世帯が増え、全体の3分の1を占めていることは近年の国税調査でも指摘されています。かつて多く見られた、三世代が同居する大家族の世帯は大幅に減少しており、まさに日本の家族の姿も変わりつつあるといえるでしょう。

 

家族のあり方が変われば、当然ながら求められる住宅も変わってきます。振り返ってみれば、戦後の高度経済成長のなかでは拡大や上昇を目指すことが一つの美徳でもありました。1960年代に大ヒットしたお菓子のCMにある「大きいことはいいことだ」というフレーズが象徴していたように、「より上を目指す」ことは飛躍的に成長する時代の価値観でもあったのです。

 

若者たちは高収入で安定した生活を目指し、「良い大学」「良い会社」を目的に据えて都市に移り住み、実家に戻ることなくそのまま自分の家庭を構えます。残された親たちはそのまま夫婦世帯になり、やがて連れ合いに先立たれても思い出深い家を離れ難く、多くの人が「子どもの世話にはならない」と単身世帯となります。しかし現実的には高齢者にとって、かつて家族で暮らした広い家は管理もままならず、持て余してしまうこともあるでしょう。

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