介護サービスは、いずれ先祖返りする
サービスから措置の時代へ逆戻り。
私は介護保険制度の今後をこう見ています。介護保険報酬(介護事業者に支払う労務費用)は、想定外に増加しています。当然、財源の過半は税金ですから、大方針としては報酬の削減ということになります。
では、報酬削減をするには、何をすればよいのでしょうか?その答えは、介護保険制度を使わせないようにすることです。一つは、介護保険制度を使うであろう分母、つまり要介護状態の高齢者を減らすことです。そしてもう一つは、介護保険制度内でカバーできる介護サービス数を減らしていくことではないでしょうか。
または、その両方を実施しなければならないのかもしれません。分母を減らすということは、要介護状態の高齢者数を減らすということなので、「延命をしない」「看取りを積極的に行なう」「健康寿命を延ばすために食生活や運動をしっかり行なう」などの政策を進める必要があります。その中で私が注目していることは、寝たきり寿命の短期化への取り組みです。
死に対するプロセスの中で、寝たきりになることは避けられません。寝たきりになっても10年近く生きている人がいますが、この人たちの寝たきり寿命をどこまで短くしていくかについての政策が打ち出されるのでは、と考えています。
たとえば、医療において透析という治療方法があります。透析は止めてしまえば人は死んでしまいますが、継続していれば生きていくことができます。90歳の高齢者に透析は必要なのかどうか、考えなければならない時期にきているのだと思います。
小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役