将来の人口増減…同じ路線でも地域差が
不動産投資において、投資判断の基準になる、将来人口の予測をみていきます。日本では、人口減少のトレンドに入っていますが、東京都においても例外ではなく、国立社会保障・人口問題研究所では、2030年、1388万2,538人をピークに人口は減少していくと予想しています。この予測では、都心人気は健在で、東京都内でも人口が増加する地域と、減少地域の2極化が進むとされています。
そのなかで、9地域の2015年の人口を100とした際の推移をみていくと(図表7)、「溝の口」含む川崎市高津区が対2015年で110と最も高く、続いて渋谷区、目黒区と続きます。世田谷区や川崎市宮前区はかろうじて人口増加、ほかは対2015年で人口減少を予測しています。また川崎市宮前区と横浜市青葉区の間に、人口増減の境が存在するという結果になりました。
続いて、黄色~橙で10%以上、緑~黄緑0~10%の人口増加率を表し、青系色で人口減少を示すメッシュ分析で沿線を細かくみていきます。「渋谷」周辺では高い人口増加が予測されていますが、「三軒茶屋」周辺では人口減少を予測する青系色で染まっています(図表8)。そのあと世田谷区内では、緩やかな人口増加を予測する緑系色(図表9)。多摩川を渡り「高津」~「溝の口」周辺は、人口増加率が高い橙色が地域が点在。その後、「あざみ野」に至るまで緩やかな人口増加が推測されていますが、以降はほぼ人口減少を示す青色系色が広がります(図10、11)。駅単位で考えると、「あざみ野」と「江田」の間に、人口増減の境が存在しています。
東急田園都市線沿線を、不動産投資の重要な判断基準となる人口を中心にみてきましたが、現状は、全国的に市場が活況だったこと、人気路線であることもあり、ネガティブな要素はみられませんでした。しかしこの先の予測をみていくと、人気路線でも人口減の影響は避けられず、同路線のなかでも、勝ち組エリアと負け組エリアの2極化が進むとみられます。
もちろん不動産投資はさまざまな要素が絡み合うものであり、また予測はあくまでも予測。このコロナ禍によって、推測は大きく変わることは考えられます。常にマーケットの状況を見極めていくことが肝心です。