人口減少の局面になり、厳しさが増す不動産投資。今後、どこが投資エリアとして有望なのか。不動産投資には欠かせない要素である「人口」や「不動産取引の現状」などをもとに、検討していきます。今回紹介するのは、東急田園都市線沿線です。

東急田園都市線沿線9地域を徹底比較

「渋谷」駅と「中央林間」駅を結ぶ、東急電鉄田園都市線。「渋谷」では東京メトロ半蔵門線とも相互運転を行い、路線距離30km強の間に27の駅が設置されています。

 

沿線には、「三軒茶屋」や「二子玉川」「たまプラーザ」などの人気の街があったり、グランベリーパークの誕生で「南町田」駅が「南町田グランベリーパーク」駅に改称になったりと、話題性も高い路線です。

 

不動産投資の観点でみても、魅力的な沿線。その可能性について、考えていきましょう。

 

田園都市線は、渋谷区、目黒区、世田谷区、川崎市高津区、川崎市宮前区、横浜市青葉区、横浜市緑区、町田市、大和市と、9地域を通る路線です。まず不動産投資の判断基準のひとつ、人口についてみていきます。

 

最新の国勢調査によると(図表1)、都心回帰の流れもあり、9地域のなかで最も人口増加率が高いのは、渋谷区9.8%。続いて多いのが、「溝の口」有する川崎市高津区で4.96%。すべての地域で増加を記録していますが、「渋谷」に近いほうが人口増加率は高い傾向にあります。また川崎市宮前区が3.07%で、横浜市青葉区が1.77%とということからみると、「鷺沼」(川崎市宮前区)と「たまプラーザ」(横浜市青葉区)の間に、人口増加率のひとつの境がありそうです。

 

出所:平成27年「国勢調査」より
[図表1]田園都市線沿線自治体の人口増加率 出所:平成27年「国勢調査」より

田園都市線沿線を分ける、不動産人気の境界線

沿線の賃貸市場をみていきましょう(図表2)。各駅の駅徒歩10分圏内、1K・1DKの平均賃料を並べてみると、やはり突出しているのは「渋谷」で10.52万円。東京23区内は賃料は高めで7万円台で推移し、多摩川を渡り、神奈川県に入ると、6万円台となります。

 

各駅停車のみの駅より急行停車駅のほうが賃料は高くなりますが、おおむね「渋谷」から遠ざかると賃料も下がり、終点「中央林間」では4.92万円。ただ横浜北部地域の中心でもあり、人気の高い「たまプラーザ」周辺で、賃料の高まりが確認できます。ちなみに「中央林間」から「渋谷」は、日中時間帯で40分強。渋谷周辺の勤務なら、居住地の候補になりうる立地だといえます。

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(8月25日時点)
[図表2]田園都市線各駅の平均賃料 出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(8月25日時点)

 

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