「竹ノ塚=治安が悪い」は本当か?
「竹ノ塚」は、東京都足立区の北部位置する、東武鉄道伊勢崎線の駅です。東武伊勢崎線は「北千住」で東京メトロ日比谷線と相互運転を行っているため、都心にもダイレクトにアクセスすることができます。
足立区のターミナル「北千住」までは9分、「秋葉原」28分、「銀座」42分、「六本木」53分(平日8時に「竹ノ塚」を出発した場合の目安)。「北千住」からは、JR常磐線や東京メトロ千代田線、つくばエクスプレスに乗り換えて、様々な都心主要エリアにアクセスできます。
竹ノ塚は、高度成長期、日本住宅公団が駅東側の100ヘクタールの農地を区画整理し、のべ2800戸以上の団地を建設して発展した街です。その歴史を象徴するかのように、竹ノ塚駅を降りると、ロータリーを囲む巨大な団地がそびえ建ちます。
また駅は各駅停車しか停まりませんが、バス便が発達。足立区北東部の花畑地区などを結ぶ、ターミナル的役割を担っています。
駅周辺には、「ピーコック」や「イトーヨーカドー」のほか、全国区のドラッグストアや100円ショップ、飲食チェーンなど、お馴染みの店が集積する一方で、地元密着型の個店で構成される商店街「竹ノ塚 カリンロード商店会」があり、良好な買い物環境が広がっています。また物価の安さでも評判で、住宅情報誌では「住みやすい街」としても評価されている街です。
一方で、夜になると別の顔をのぞかせるのが竹ノ塚。特に駅南東エリアは飲食店が集中する歓楽街で、50ほどのフィリピンパブが並び、フィリピン人コミュニティを形成していることから、通称「リトルマニラ」とも呼ばれています。
そんな夜の街で、今年、新型コロナウイルスのクラスターが発生。思わぬところでフィリピン街の存在が広く知られるようになりました。また従来から竹ノ塚は、治安の悪さを指摘する声が多く聞かれます。実際はどうなのでしょうか。
警視庁による、足立区全267町丁の犯罪認知件数(図表1)を見ていくと、区の平均は、17.8件/年。「竹ノ塚」駅周辺では、区平均をほぼ上回っています。特に駅東口を出て北側の「竹の塚6丁目」と、歓楽街となっている「竹の塚1丁目」は、区平均の5倍強と突出しています。
犯行手口別に見ていくと、前出のエリアでは、歓楽街ゆえ粗暴犯が多く、お酒を飲んで楽しんだ際には、気を付けたほうがいいでしょう。またターミナル駅ということもあり、駅周辺では自転車窃盗が多発。実は足立区は、平坦な道が多く自転車利用者が多いということもあり、東京23区のなかでも自転車窃盗の多いエリアとして知られています。そこで足立区では、平成30年から自転車のカギがけが義務化。徐々にですが、その効果が表れています。