沿線の賃貸物件の築年数の分布をみていきます。まず渋谷区、目黒区、世田谷区ですが(図表3)、最も多いのが、バルブ期含む1980年代、築30~40年ほどの物件で、特に世田谷区では4軒に1軒の割合となります。近年は都心人気の高まりから、新築物件の供給も都心で多くなっていて、新築含む築10年以内の築浅物件の割合は、渋谷区>目黒区>世田谷区となっています。
続いて川崎市高津区、宮前区、横浜市青葉区、駅でいうと、「二子新地」~「田奈」(図表4)。傾向としては東京3区と変わらず、1980年代に建築ラッシュがあり、特に宮前区では全賃貸物件の3割以上が築30~40年という状況です。また2000年代に入り、再開発によって「溝の口」近郊の人気が高まったことを受けて、高津区で賃貸物件の供給が増加したことがうかがえます。
最後に、横浜市緑区、町田市、大和市、駅でいうと「長津田」~「中央林間」(図表5)。ここでも同じように1980年代の物件が多い一方で、都心から距離があるため、宅地開発が盛んになったのはここ30~40年。築40年以上の物件は都心に比べて少なく、築20~30年ほどの物件のボリュームが他エリアよりも多い傾向にあります。
続いて、不動産取引きの状況をみていきましょう。この10年ほどで、中古マンションの取引価格がどれくらい増減したのか、その割合をみていきます(図表6)。9地域のなかで最も価格が高まったのは渋谷区で、130%強増を記録。都心人気の高まりをうかがえる結果です。続いて、川崎市高津区で128%。前出の通り、「溝の口」周辺の人気の高まりが影響していると考えられます。
この十年、不動産価格の上昇は全国的なものなので、どの地域もプラスを記録していますが、「たまプラーザ」有する横浜市青葉区121%増と、「長津田」有する横浜市緑区111%増と、この2つの地域の間に不動産人気のひとつの境がありそうです。