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「海外不動産節税の封じ込め」×「コロナ」の二重苦
■コロナ渦で考える「ハワイ不動産最適化」診断
2021年から海外中古不動産の減価償却による赤字を活用した、いわゆる減価償却節税が封じ込められることになった(関連記事『税制改正大綱発表、海外不動産節税スキームへの影響を最速解説』『税制改正…「海外不動産節税」封じ込めへの対策案を最速解説』)。
しかしハワイ州ではロックダウン解除後も、離島間の移動後は2週間の自主隔離が義務付けられており、日本からは容易に立ち入りできない状況が続いている。日本にいる投資家はどう動いてよいかわからず、今は考えるのをやめている方も多いだろう。
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また、観光客がほぼゼロとなったことで実質的にホテルが封鎖され、ホテルコンドミニアムのオーナーは宿泊収入がゼロとなった。管理費などの持ち出しもみられることから、値下げによる売却ケースも目立ち始めた。
さらに最も効果的な節税といわれている木造住宅(タウンハウス)に関しては、今後は日本人による節税目的の購入はなくなるため、ローカル(現地)での居住用実需のニーズに即した売却を考える必要がある。
このように税制改正とコロナ渦で出口をどこに見つけたらよいのか迷っている投資家も多い。そこで本記事ではコロナ禍で考える「ハワイ不動産適正化」の方法を考えてみたい。
■ハワイ不動産オーナーをとりまく状況の変化
令和2年度の税制改正により、2021年以降は海外中古不動産の減価償却から生じる不動産所得の赤字が、給与をはじめとしたほかの所得と損益通算ができなくなった。そのため節税スキームが有効な2020年を機会に売却するものと予想されていたが、コロナ騒動により売却の目途が立たなくなった投資家も多い。
ハワイ不動産投資ブームが始まった2014年当時は、イリカイホテルを中心に中古ホテルコンドミニアムによる節税が注目された。ホテル運営会社が宿泊管理を行ってくれるため投資家自身は煩わしい思いをしない、いわゆる「ほったらかし」で確実な運用益と節税効果を得ることができた。さらにミリラニやカネオヘエリアを中心とした軍関係者向けの安定した賃貸収入を得られるアパート(タウンハウス)は、木造中古物件のため4年で償却できる。現地の銀行から高金利(ハワイでは通常の金利)で資金調達を行いレバレッジを狙う投資家もかなり見受けられた。
その後日本では民泊新法が施行され、国税庁も「民泊は雑所得」との見解を公表、これにより一部ホテルコンドミニアムでは不動産所得が否認され、雑所得として損益通算できない修正課税も見られた。
もともとハワイ不動産には、日本人富裕層やアメリカ本土の人々のリゾートとしての別荘実需が存在したが、節税目的の投資家が購入したことによりどんどん価格は上昇した。しかし日本人投資家が購入する物件と、ハワイローカルを含むアメリカ人が購入する物件はエリアが異なり、それぞれ別のルートで売買が行われていたため、節税目的で購入した物件は節税目的の日本人に売却するのが当たり前となっていた。
今回の税制改正で節税できなくなっただけでなく、日本人投資家以外に売却をする前提で話を進める必要が生じた。空室状態でないと居住目的のローカルには売却しにくいので、契約更新時に空室にして待機しなければならない。
またハワイ不動産ブーム(購入)からそろそろ5年経過する。「長期譲渡」に該当し、キャピタルゲイン課税の税率も20.315%(短期譲渡は39.63%)の適用を受ける方も多くなってきている。
「今すぐハワイ不動産を売却」判断のポイントは…
■お持ちのハワイ不動産の投資結果を分析
今お持ちの不動産を売却する場合、現状その投資家がどのような状況になっているのか把握しておく必要がある。急いで手当てをしなければないのか、そうでないのかを見極めるためだ。この場合の判断要素は以下の5つである。
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1.値上がり益
2.節税効果
3.利回り益
4.為替差損益
5.出口課税
さらに銀行借り入れを行っている場合には、今後の金利情勢や低金利へのシフトが可能かどうかも判断要素に加わることになる。筆者は上記の4点を考慮し、現在価値で売却した場合の投資効果を計算できるシートを基にコンサルティングしている。
[図表1][図表2]は、もともと5千50万円の自己資金で始めた不動産投資の結果、6年半で8千850万円まで増やすことがができた(約3千800万円の増加)実例である。
コロナ渦での売り抜けが思うようにいかない場合、「どこまで下げて売却しても大丈夫なのか」の判断の1つとなるが、ハワイ不動産を売却するということは、ほかの財産(たとえば円預金)にシフトする点を忘れてはならない。つまり売却後にシフトする財産の成長性や安全性との比較した上での意思決定となる。
コロナで本業の事業資金が不足したためハワイ不動産を売却する場合はともかく、コロナの影響を受けているのはハワイ不動産だけでないため、自分のほかの財産を含んだポートフォリオで判断しなければならない。
特にハワイ不動産が初めての外貨での運用という方は、せっかく「長期分散投資」として海外投資を始めたのに、また日本に送金して円で運用するのか…という点についてじっくり考えてほしいところだ。
次回は長期保有を前提とした「ハワイ不動産の法人化」について考えてみたい。
内藤 克
税理士法人アーク&パートナーズ 代表社員/税理士
ハワイ相続プロジェクト・代表
著書に『残念な相続』(日本経済新聞社)など
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