【新型コロナ対策】政府系から直接融資を受けられる会社は?

新型コロナウイルス感染症関連の資金繰り対策の窓口は、民間金融機関(銀行)と政府系金融機関の2種類にわけられます。実際の中小企業救済措置に「セーフティネット保証」「セーフティネット貸付」がありますが、これらの仕組みはまったく異なるため、注意が必要です。今回は、「セーフティネット貸付」を行う政府系金融機関が、ほかにどのような融資をしているのか、またその対象者は誰かを説明していきます。※新型コロナウイルス感染拡大を受けた政府の救済措置について、税理士法人アーク&パートナーズの内藤克氏が特別解説。今回は第4弾。

政府系金融機関から直接融資を受ける方法は数種類ある

前回はセ-フティネット「保証」について説明しましたが、「売上減少の証明書を区役所に発行してもらい、金融機関経由で保証協会の保証を取りつけた」状態から、スムーズに融資を受けられるかどうかは銀行次第になってしまいます(関連記事:【コロナ倒産を防ぐ】救済措置「セーフティネット保証」を知る)。そこで多くの会社は、政府系金融機関から直接融資を受ける方法を選択します。

 

◆政府系金融機関「日本政策金融公庫」とは

 

政府系金融機関はいくつかありますが、中小企業向けは日本政策金融公庫(日本公庫)と商工組合中央金庫(商工中金)です。商工中金は会社規模によって融資のハードルが高いため、ここでは日本公庫について説明します。

 

日本公庫と銀行の大きな違いは「通帳があるかどうか」と「保証協会の保証が必要かどうか」という点です。日本公庫は融資をするだけの金融機関であるため、決済業務などは行っておらず、通帳はありません。返済はすでに開設している銀行口座となります。

 

また、独自の判断に基づく与信により融資するので、保証協会の保証も必要ありません。設立第一期(まだ決算を一度もやったことのない生まれたて)の会社にも融資をしてくれることも銀行との相違点です。

 

日本公庫は、中小企業向けの一般貸付4800万円をはじめとして、新規開業資金や中小企業経営力強化資金など約100種類の制度融資を揃えています。政府系金融機関といえども目標(ノルマ)があるらしく、昔はよく新規の融資先開拓で会計事務所へ営業に来ていたものでした(筆者の事務所も、以前は「1日公庫」と称して毎週1回公庫の担当がクライアントの融資相談を受けていました)。

 

◆コロナ関連の融資は…

 

コロナ関連の融資制度として、「① セーフティネット貸付」「② 新型コロナウイルス感染症特別貸付」「③ 新型コロナウイルス対策マル経融資」「④ 危機対応融資」「⑤ 特別利子補給制度」が創設されています。詳しくは経済産業省の「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」(https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf#search)をご覧ください。

 

実際のところ、「① セーフティネット貸付」については、基準金利の減額もなく金利の減免適用もないため、今回利用する方はほとんど見かけません。「③ 新型コロナウイルス対策マル経融資」、いわゆるマル経融資は、商工会議所の経営指導員の指導を受けた事業者が対象であるためスピード感にかけます(コロナ対応の経営指導をまともにできる指導員がいるとも思えません)。

 

「④ 危機対応融資」については商工中金と取引がないと利用することは難しいことから「② 新型コロナウイルス感染症特別貸付」に集中しているのが現状です。

 

仮にほかの融資の要件を満たしていても、金利、返済据置期間、貸付期間などの条件から「新型コロナウイルス感染症特別貸付」が圧倒的に有利となっています。これに「⑤ 特別利子補給制度」を組み合わせると、実質的な無利子化が可能となるのです。

 

それでは「新型コロナウイルス感染症特別貸付」とはどのような制度なのでしょうか。

 

制度をうまく利用すれば実質的な無利子化が可能となる。
制度をうまく利用すれば実質的な無利子化が可能となる。

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」対象者は?

日本公庫の場合、規模により「中小事業」と「国民事業」にわかれ、それぞれの要件が異なります。ここでは対象会社の多い「国民事業」について説明します。中小事業の定義は中小企業法で定められていますので以下のサイトをご参考ください(https://www.chusho.meti.go.jp/faq/faq/faq01_teigi.htm#q1)。

 

◆新型コロナウイルス感染症特別貸付とは?

 

【融資対象】次のどちらかに該当する方(個人事業含む)

① 最近1ヵ月の売上高が前年または前々年同期と比較して5%以上減少した方

② 新規設立や多額の設備投資を行っているために単純に過去との比較ができない場合は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方

イ.過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む)平均売上高

ロ.令和元年12月の売上高

ハ.令和元年10月~12月の売上高平均額
ただし、個人事業主に関しては必ずしも上記要件をみたしていなくても事業説明によりOKとなる場合もあります。

 

【融資限度額】6000万円

【貸付期間】最大15年(設備資金は20年)

【据置期間】最大5年

【金利】3000万円まで当初3年間は0.46%(ただし条件を満たすと3年間は利子補給により金利0%)、4年目からは1.36%

 

【利子補給(金利ゼロ)の要件】

① 個人事業主は要件なし

② 小規模事業者(製造業、建設業、運輸業、その他の業種は従業員20名以下、卸売業、小売業、サービス業に関しては従業員5名以下)については売上高が15%減少していること

③ ①②以外は売上高が20%減少していること

 

【利子補給期間】3年間

 

令和2年1月29日以降にすでに借入を行っている場合には、この制度の遡り適用が可能となっています。

 

 

銀行と同様、日本公庫も申請件数が急増し、本部の人員やOBまで動員して対応しています。資料を揃えて申込書を提出しても、審査まで2週間、そして実際の審査に2週間かかるため、融資の実行まで1ヵ月以上は待たなければいけないようですので、早めに準備することが肝心です。こういう時こそ会計事務所をうまく活用し、早め早めの対応が必要となってきます。

 

【緊急経済政策解説】

<第1弾>緊急事態宣言に伴う「30万円現金給付」真の対象者を知る方法

<第2弾>緊急事態宣言に伴う「事業主への100万円給付」意外な盲点は…

<第3弾>【コロナ倒産を防ぐ】救済措置「セーフティネット保証」を知る

 

 

内藤 克

税理士法人アーク&パートナーズ 代表社員/税理士

ハワイ相続プロジェクト・代表

著書に『残念な相続』(日本経済新聞社)など

 

 

 

 

税理士法人アーク&パートナーズ 代表社員 税理士

日弁連、金融機関、後継者団体などで相続・事業承継の講演多数。
著書に「残念な相続」(日本経済新聞出版社)など。

弁護士、司法書士、社会保険労務士などの周辺専門家との共同コンサルティングを得意とし、
オーナー企業の経営課題を社長とひとつひとつ解決していくスタイルは定評がある。

ハワイと日本の専門家で構成する「ハワイ相続プロジェクト」代表。

著者紹介

連載世の中のリアルが見えてくる!税金にまつわる「ほんとの話」

本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2020年4月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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