4月7日より発令された「緊急事態宣言」。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、東京・神奈川をはじめとした7都道府県を対象に、外出自粛要請やイベント開催の制限等を呼びかけた。「国民の命と健康を守ることを第一に」発出した同宣言であるものの、景気悪化という名の病毒は、すでに日本国民を蝕みつつある。安倍首相は、個人向けの「現金給付金制度」・事業者向けの「持続化給付金」を併せて提示しているが、その全貌を把握している人間は少ない。本記事では、税理士法人アーク&パートナーズの内藤克氏が、現金給付制度について具体的に解説する。

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緊急事態宣言を発令「現金給付制度」が創設されたが…

4月7日に発令された緊急事態宣言を受け、同日、個人向けの「現金給付金制度」について発表がありました。翌8日には事業者向けに「持続化給付金」の創設が公示されましたが、これらは4月中に補正予算を決定し、5月から申請と支給が始まる予定です。

 

次々と給付金制度が発表されたため、自分がどの給付を受けられるのか混乱している方も多いことでしょう。そこで現時点での情報をもとに、現金給付と持続化給付金について「30万円、100万円、200万円と給付金があるなかで、自分はどれをもらえるのか?」を2回にわけて説明していきます。

 

◆現金給付(30万円コース)の要件とは

 

これは個人単位ではなく世帯単位ですので、大家族でも単身者(一人暮らしは世帯主)でも給付額は一律30万円となっています。家族の人数が多いからといって、多額の現金が支給されるわけではありません。

 

『新型コロナウイルス感染症緊急経済対策』によると、支給要件は

 

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世帯主の月間収入が、2020年2月から6月のいずれかの月で、以下の①と②のどちらかを満たす場合。

 

① 新型コロナウイルス感染症発生前に比べて減少し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等割非課税水準となる低所得世帯
② 新型コロナウイルス感染症発生前に比べて大幅に減少(半減以上)し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等割非課税水準の2倍以下となる世帯等

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となります。

 

注意点は「世帯主の収入で判断すること」「2月~6月で一番収入の低い月の金額で計算できること」「住民税均等割非課税の金額」の3点です。順を追って説明していきます。

 

給付金、具体的な支給基準は
給付金、具体的な支給基準は

2月~6月のいずれかで「一番収入の低い月」を12倍

まず世帯主ですが、これは住民登録するときに任意で決めるものであり、「家族で一番収入の多い人」というわけでも「一番年齢が上の人」というわけでもありません。世帯主がわからない場合は、住民票を確認してみてください。

 

原則、家族全員の収入が激減していても、世帯主の収入が変わらなければこの給付を受けられません(該当する人を世帯主に変更するという手もありますが、このために役所へ行列するのはオススメできません)。

 

次に判定の基礎となる収入ですが、2月~6月のいずれかで一番収入の低い月を12倍し、年収換算した限度額(住民税均等割非課税額)との比較となります。給与でなく「収入」という表現ですので、給与以外の家賃収入やコンサルタント収入も含まれると考えられます。しかし事業者に関しては、次回に説明する「持続化給付金」で手当てされるため、最終的には給与収入に定義されると考えられます。

 

給付金の判定で一番ややこしいのが住民税均等割非課税の金額です。そもそも住民税は自分で申告するものではなく、所得税の確定申告データや年末調整によるデータ(国税)をもとに、各自治体(市区町村)が計算して給与から天引きしています。「均等割」とか「非課税金額」といわれてもピンときませんよね。

 

 

住民税には均等割と所得割があり、それぞれ非課税額が決められていますが、ここでは均等割の非課税額[35万円×世帯人数+21万円]を用います。支給要件の①に関しては2月~6月で一番低い給与収入を12倍して推定年収を計算し(1月に高額給与の支給を受けていても関係ありません)、これが[35万円×世帯人数+21万円]より低ければ給付対象となります。

 

②に関しては、①まで給与が低くない(給与が半減したが非課税金額まで減っていない)方が対象となります。こちらに該当する方が圧倒的に多いでしょう。計算としては、年間ベースに引き直した金額が非課税額[35万円×世帯人数+21万円]×2より低ければ対象となります。

 

◆申請方法は

 

源泉徴収票や給与明細書など収入を証明できる書類を添付して、自治体に郵送やオンラインなどで申請します。ほとんどの場合1月分の給与に関してコロナウイルスの影響を受けていないため、1月の給与明細と2月~6月の一番低い月の給与明細(②については半減した月の給与明細)を添付してオンライン申請をすることになります。

 

申請方法については今後総務省から順次発表があると考えられますが、恐らくマイナンバーを活用することになるでしょう。今のうちから、マイナンバー通知カード(紙)もしくはマイナンバーカード(ICカード)がお手元にあるか確認しておくことをオススメします。

 

 

内藤 克

税理士法人アーク&パートナーズ 代表社員/税理士

ハワイ相続プロジェクト・代表

著書に『残念な相続』(日本経済新聞社)など

 

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本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2020年4月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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