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相続税の「税務調査」の実態と対処方法
最大5.6億保証するセーフティネット・危機関連保証
◆資金繰りをサポートしてくれる「セーフティネット保証」って何?
緊急時だからといって、民間金融機関は自分たちがリスクをとって独自の対応をしてくれるわけではありませんし、そんな体力のある金融機関もほとんどないでしょう。このサポートは各都道府県に存在する保証協会(正式名は○県信用保証協会など)が全面的に保証をすることで、民間の融資を後押しするという仕組みです。
保証協会とは「信用保証協会法」に基づく公的機関として、中小企業の経営の発展をサポートする目的で1937年、東京に発足しました。
保証協会による信用保証制度は、銀行借入をする場合の公的な保証人という位置づけとなっています。銀行もプロパーではリスクがあるため、信頼関係が築けるまでこの保証を活用して融資を行うのです。
一般保証枠は2.8億円(うち無担保は8,000万円)となっており、通常の融資はこれで対応することになっていますが、今回はコロナ危機を乗り越えるため、以下のように一般保証とは別枠で資金繰りをサポートすることになっています。
一般保証(2.8億円)+セーフティネット保証(2.8億円)+危機関連保証(2.8億円)
では「セーフティネット保証」とはどのようなものでしょうか。
セーフティネット保証は中小企業信用保険法第2条第5項に基づき整備されたもので、経営の安定に支障をきたす各要因によって、1号から8号までが定められています。都度、エリアや業種の指定がなされますが、今回のコロナ対策としては4号(令和2年3月2日指定)、5号(令和2年3月23日指定)が対象とされており、その保証枠は2.8億円となっています。
◆セーフティネット保証4号(保証割合:借入債務の100%)
対象:「売上高等が前年同月比20%以上減少し、かつその月、翌月、翌々月の売上合計額等が前年同期間比で20%以上減少することが見込まれる」「その地で3ヵ月以上営業を行っている」という条件を満たしている中小企業者
◆セーフティネット保証5号(保証割合:借入債務の80%)
対象:「最近3ヵ月間の売上合計額等が前年同期間比で5%以上減少」で「指定された業種(逐次追加されるので注意)であること」という条件を満たしている中小企業者
※詳しい情報は経済産業省『セーフティネット保証制度 中小企業信用保険法第2条第5項及び第6項』(https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_gaiyou.htm)をご覧ください
信用保証協会は、金融機関に対し保証割合に応じて借入金を保証しますが、金融機関にとっては今の状況で先行きが見えない会社に融資するとなるとリスクを伴いますので、100%保証の4号認定のほうが融資しやすいとも考えられます。
そしてさらに今回は、大規模な経済危機、災害等による信用収縮への対応として全国・全業種に対して別枠(2.8億円)で借入債務の100%を保証する「危機関連保証」も措置されました。
◆危機関連保証制度
新型コロナウイルスに起因して、「売上高等が前年同月比15%以上減少し」かつ「その月、翌月、翌々月の売上合計額等が前年同期間比で15%以上減少することが見込まれる」という条件を満たしている場合、借入債務の100%(全国全業種)を保証する(前提条件で金融取引に支障をきたしているということとなっていますが、これはすべてに当てはまると考えられます)。
セーフティネット保証、危機関連保証ともに「売上がダウンしたことの証明」が必要ですが、そのためには市区町村から認定書の交付を受けなければなりません。インターネットで書式をダウンロードし、記入したものに市区町村長の認定印をもらうのですが、その際にも決算書などが必要となってきます(役所に行列ができないか心配です)。
コロナ下でも「すぐ動いてくれる銀行」はあるの?
とはいえ、「セーフティネットと危機関連保証で5.6億円貸してください。銀行さんはリスクないですよね?」といっても保証枠目いっぱい貸してくれるわけではありません。財務内容、コロナ感染拡大による影響額、そして今までの取引状況(融資していないけど預金だけある、という場合は取引先という扱いになっていません)をもとに審査してから融資額が決定されるのです。
国がこれだけの制度を確立しても、銀行によっては感染予防のため在宅勤務となっていたり、問い合わせが殺到していたりして、対応が遅くなっている支店も多く見受けられます。
ただし、これを機会に新規融資先を獲得するという意味でこの緊急融資を受け付けるという方針の銀行(郊外)もあるようですし、地方銀行の首都圏周辺の支店などは、地元では有名でも全国的に見れば知名度が低いともあり、コロナ不況回復後の取引を見据えて対応してくれる可能性もあります。諦めずに交渉してみることが大切です。
次回は政府系金融機関の対応を解説します。
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内藤 克
税理士法人アーク&パートナーズ 代表社員/税理士
ハワイ相続プロジェクト・代表
著書に『残念な相続』(日本経済新聞社)など
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