ベッドに縛られ…「薬をもらえない」認知症になった独居老人の末路

医療法人社団榎会理事長である榎本稔氏は書籍『ヒューマンファーストのこころの治療』(幻冬舎MC)にて、デイナイトケア(終日クリニックでリハビリをすること)の重要性を説いています。

「少子化」と「世帯分散化」が独居老人を生む

■お世話の介護と医療の看護

 

いま、日本はいまだかつて世界のどの国も経験したことがないほどの「超高齢化社会」を迎えています。しかも、「少子化」と「世帯分散化」も同時に進行しています。

 

「少子化」と「世帯分散化」が悲劇を生む(※写真はイメージです/PIXTA)
「少子化」と「世帯分散化」が悲劇を生む(※写真はイメージです/PIXTA)

 

昔であれば子どもは結婚すればどちらかの親世帯と同居するのがふつうでしたが、いまは別々に暮らすケースが増えています。人口は減少傾向にあるのに、世帯数は逆に増えているのはそのためです(図参照)。

 

子育てを終えると、夫婦はまた二人きりの生活に戻ります。お互いを気づかい支えあって暮らしているうちはいいのですが、高齢になってどちらかが先に逝ってしまうと、いわゆる「独居老人」になってしまいます。

 

これまで何十年も連れ添ってきたパートナーを亡くして、すぐに気持ちと生活を切り換えられる人などそうはいません。外出の機会が減って家にこもりがちになり、誰とも会話をしないままに1日を終えるようになってしまいます。

 

料理をしても食べてくれる相手がいないと、しだいに手ぬきがちになるでしょう。栄養バランスがかたより、生活が不規則になり、運動不足から体が弱り、最後には寝たきりになってしまうのです。

 

体を動かさないと筋力が衰えていくように、社会から孤立して他人との接点をもたないでいると、人のこころは少しずつ“閉じて”いってしまいます。

 

こうした状況からお年寄りを救うために、国は介護政策に力を入れており、街のあちこちにデイサービス施設や福祉介護施設ができています。人材も財源も不足するなかでなんとか対応しようとしているのですが、システムとしての完成度はお世辞にも高いとはいえません。

 

問題点はさまざまありますが、1つには介護を医療となんとかして切り離そうとしていることが挙げられます。

 

たとえば、福祉介護の現場では、認知症のお年寄りが徘徊したり暴れたりすると、ベッドや車いすに縛りつけるなどして拘束してしまいます。本当はいけないことなのですが、少ないスタッフでたくさんのお年寄りのお世話をしなければならないので、やむをえずそうしたことが行われているのです。

 

[図表]世帯数の推移

医療法人社団榎会理事長 医学博士 

1935年生まれ。1957年東京大学教養学部理科二類修了。1961年東京医科歯科大学医学部卒業。1975年山梨大学保健管理センター助教授。1988年東京工業大学保健管理センター教授。1992年榎本クリニック院長。1997年より現職。榎本クリニックでは「デイナイトケア治療」を積極的に取り入れ、精神科を受診する人たちが日々の居場所を確保したり仲間作りをしたりできるようにしている。 デイナイトケアには、精神科医、看護師、心理士、ケースワーカーなど様々な職種のスタッフが勤務しており、コミュニケーションスキルのトレーニングや社会復帰のためのサポートを行っている。

著者紹介

連載ヒューマンファーストのこころの治療

ヒューマンファーストのこころの治療

ヒューマンファーストのこころの治療

榎本 稔

幻冬舎MC

こころの病を抱える人が生きるためには、「デイナイトケア」の治療しかない! 従来のこころの病は隔離病棟での治療が一般的であった。 本書で紹介するのは、「デイナイトケア」というこれまでにない、まったく新しい治療法であ…

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