よくよく考えてみると、農耕が始まって穀類(炭水化物)が手に入るようになり、糖質をエネルギー源として利用するようになったのは、わずか1~2万年前に過ぎません。人類が誕生した700万年前は、狩猟採集が中心の低糖質・高タンパクの食事ですから、人類の歴史のほとんどは、糖質を摂ることなく生きてきたことになります。
したがって、ケトン体をエネルギー源とすることは理にかなっています。人の体は本来、糖質をたくさん摂り入れることには対応できないのです。そのため、摂り過ぎると負担になり、糖尿病をはじめとするさまざまな病気を発症することとなります。
このように、糖質はエネルギー源だから大事といわれ、ケトン体は悪者扱いされていたのが、筆者の実験からも糖質を摂らなくてもエネルギー源は確保され、健康も維持できることが分かりました。脳もしっかり機能して、診療に支障をきたすこともありません。
世間の理解が追いついてきた「ケトン食の有効性」
最近は、ようやく糖質を制限してケトン体をエネルギー源とする「ケトン食」が健康に良いという声が聞こえ、常識も変わってきつつありますが、これはよく知られた健康法が誤っている最たる例だと思います。
そうなると、健康食の定番といえる「玄米」の見方も違ってきます。一般的には玄米というと、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なので、白米より健康に良いとされています。それは事実で筆者も否定はしませんが、玄米も糖質であることに変わりはなく、食後の血糖値は上がるのです。したがって、玄米食では血糖値が上がらないというのも誤解といえます。
ほかにも、「空腹で運動するのは良くない」とか、「運動後は血圧が上がる」とか、「寝酒をするとよく眠れるようになる」といわれているのも、実際に筆者が試した結果は違っていました。
このように、世の中には間違った健康法や古い健康法が多く残っています。その中から体に良いことや効果的な健康法を見つけるのは難しいと思われます。そこで、筆者は自らの実験で得た健康情報を発信していこうと考えたのです。