30〜50代の日本人男性8割が「体調不良」…意外な原因とは?

30代〜50代の日本人男性の8割以上が「体調不良」を感じているという。その意外な原因とは!?  *本記事は、松藤展和氏の著作『改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9割』(幻冬舎MC)から抜粋、再編集したものです。

床の傾きによって、台車やカートが「凶器」に!?

とあるロードサイドの大規模な量販店。きれいな店内、豊富な品揃えで、周辺だけでなく隣県からもお客様を集め、良好な業績を上げているお店です。しかし、一見順調に見えるそのお店ですが、従業員の間では、ある不安材料が囁かれていました。

 

お店の1階フロアの一部で、ショッピングカートから手を放すと、そのカートがひとりでに走り出してしまうのです。カートが動き出してしまう原因は、一見そうとはわからないものの、店がオープンしてしばらくして広大な売り場の真ん中あたりが沈み始め、フロアが緩やかに窪んでしまっていることでした。

 

ショッピングカートがひとりでに走り出す…!? (画像はイメージです。/PIXTA)
ショッピングカートがひとりでに走り出す…!?
(画像はイメージです。/PIXTA)

 

もちろん、大抵の場合は、動き出したカートを見てお客様は慌てて押さえますから大事には至らないのですが、時には棚の商品に気を取られていて、カートから注意を逸らしていることもあります。

 

そんな場合でも、せいぜい近くの棚にコツンと当たって止まってくれる程度ならよいのですが、中には、たまたま遮るもののない方向に走り出し、だんだんとスピードが出て、勢いよく棚に衝突して転倒、商品を撒き散らしてしまうというケースも何件かあったのです。

 

しかしそれもまだ軽い事故というべきで、従業員にとって最も不安なのは、そうしてスピードのついたカートの先に、もしも子どもでもいたら……、ということです。実際、これまでは運よくそうした最悪の事態には至っていませんでしたが、家族連れのお客様も多い店のこと、いつそのような大事故が本当に起きてしまうかわかりません。

 

手軽に扱える台車やカートですが、床の傾き・たわみという力が加われば、経営の存続にさえ関わるような事態を招きかねないといえましょう。

隙間は冷暖房効率を悪化させる上、カビの発生源にも

目で見て床が傾いている場合は別として、多くのケースでは、建物内で起こる異変には気づいても、その真の原因が沈下による床の傾き・たわみにあることを知るまでに、ある程度の時間がかかっても無理はありません。

 

床の傾きは、目視ではなかなか認知できませんし、異変の症状が大きすぎるため、もっとわかりやすいところに原因を求めてしまうのが普通ですから。

 

ここでは、床が傾いている建物によく見られる特徴、つまり床の傾きが原因で起こる異変が建物そのものに現れるケースについてご説明しましょう。

 

よく見かけるのは、床や壁に走る亀裂です。沈下による傾きを床や壁が支えきれず、結果として亀裂が生じます。特に床に生じた亀裂は、振動や崩落を招きかねません。

 

そして、床と壁の間、あるいは壁と天井の間にできる隙間も見られます。

 

地盤の沈下に伴って床も下がっていく場合、それに引きずられて壁も下がるなら天井(梁や柱で支えられているため下がりづらい)との間に隙間が、床だけが下がるなら床と壁の間に隙間が生じるのです。

 

こうした隙間は冷暖房効率を悪化させますし、湿気が溜まってカビなどの発生源になりますから、衛生管理上もよいものではありません。

 

また、ある調査によると、地盤沈下があった土地の建物で最も顕著に見られる損害は、コンクリートブロック塀の損傷と、外壁の亀裂や一部崩落なのだそうです。先に述べたような異変が現れているなら、まずは建物の外側をよく見てみることをおすすめします。

 

次に多いのが、建具の建て付け不良・開閉不良でした。

 

扉やシャッター、窓そのものは矩形をしっかり保っていても、それが取り付けられているフレームや壁が地盤沈下によってたわむため、きちんと整合しなくなってしまうのです。

 

これは住宅の例ですが、不同沈下が進んで玄関の扉が閉められなくなり、施錠もできないので、誰かが家にいないと出かけられないご家族に出会いました。家族揃っての外出や旅行などは「夢のまた夢」。修正工事をして玄関の扉が閉まった瞬間、「これで出かけられる!」と、皆さんが喜んでいらっしゃったのをよく覚えています。事業用の建物だとすると、どうでしょう。

 

扉が開きづらい・閉めづらいという状態は、出入りする人たちが不便を感じる以上に、深刻な被害をもたらします。

 

まず、荷物の搬出入を伴う事業なら、作業効率が下がるのはいうまでもありません。それを解消するため、人の心理として、どうしても扉を長く開放したがるのです。開けっ放しにしておけば、閉める時に苦労しない。そう考えます。反対に扉が開けづらくなったとしても、開けっ放しにしておけば再び開ける時に苦労しないと考えるものです。

 

そうして開放の時間が長くなる結果、冷暖房効率は急低下しますから、光熱費は高騰します。一般の建物内での熱伝導効率は、冷暖房とも室内外の温度差に大きく依存するのです。

 

先の震災以来、企業活動における節電が急務となり、電気料金の値上げが想定される昨今、経営としては光熱費の高止まりはどうしても避けたいところでしょう。

 

一方、扉を開放することによる大きな被害——ホコリの問題があります。アレルギー症状やぜんそくなど、健康被害も見逃せませんが、ホコリは熱放出の効率を低下させ、OA機器をはじめすべての機械類の寿命を確実に縮めます。これを防ぐには、強力な集塵機を設置したり、頻繁にクリーニング保守を実施するしかありません。当然のことながら、相応のコストがかかります。

 

たかが扉の開けっ放しと侮ることなかれ。支払う代償は大変大きいのです。

人は「わずか0.6度程度の傾き」で具合が悪くなる

床の傾きによって生じる問題は、物理的な、建物としての機能の障害ばかりではありません。

 

日本建築学会がまとめた、過去の震災による経験や実験に基づく複数の研究結果の資料によれば、人はわずか0.29度の傾きで傾斜を感じ、0.46度になると苦情が多発するようになるのだそうです。

 

さらに、わずか0.6度程度の傾きがあるだけで、目まいや頭痛などを訴える人が出てくるのだそうです。さらに1度を超えると牽引感、浮遊感を覚える人が増え、2〜3度になると吐き気や食欲不振など、かなり重い症状も出てくると言います。

 

分度器をお持ちでしたら、紙の上に「1度」を取ってみてください。ほとんど水平と変わらないと思います。筆記具によっては、0度の線と1度の線を描き分けることすら難しいでしょう。

 

しかし、さすが、われら人類の精巧な平衡感覚。1度未満の微妙な傾きもしっかりと感じとり、“症状”として主人に訴えかけてきます。

 

一方、本来、水平・垂直であるべきところが傾いていると、「そうあるべき」と頭で考えている部分と、実際の身体の感覚とに食い違いが起き、それがだんだんと健康上の障害につながってくるという見方もあります。

 

また、ある会社が30〜50代の日本人男性を対象に調査をしたところ、「まったく健康で体調の悪さを感じたことがない」という人は、2割弱。8割以上が体調不良を感じているという結果が出たそうです(養命酒製造「30〜50代の健康意識と実態調査」)。

健康のために、まず建物が傾いていないかを疑う

「9割の建物が地盤に起因する歪みの問題を抱えている」という説もあります。

 

健康だと感じている人が2割弱という実態は、ストレスや生活習慣といった直接的な原因が大きく影響しているのでしょうが、建物の床の傾き・たわみという目に見えない原因がベースになっている可能性も疑ってみる必要がありそうです。

 

このように、不同沈下による建物の傾き・たわみは、その建物を利用する人の健康にもさまざまなトラブルを引き起こします。事業の運営はモノやカネの前にヒトあってこそなのですから、健康被害は決して軽視することはできません。

「傾いた校舎」が生徒に与える悪影響

床の傾きによる被害は、工場や倉庫、店舗を運営する会社だけの問題ではありません。本来、安全であって当たり前の校舎では、床のほんのわずかな傾き・たわみが子どもたちの学校生活を危険なものに変えてしまいます。

 

ある小学校では、校舎の廊下のある地点でだけ、転ぶ子どもが多いという不思議な現象が起きていました。もちろん転んですりむく程度ならよいのですが、転んで骨折してしまう子どもまで出るに至っては、問題を放置してはいられません。

 

走ってはいけない廊下を走るからだとか、ちょうど曲がり角なので滑りやすいからだとか理由は考えられたものの、子どもはそこだけ走るわけでもありませんし、他にも曲がり角はあります。よくよく調べた結果、この地点でわずかに床に傾斜がついていることがわかりました。どうやら、そのわずかな傾斜が事故の引き金になっていたのです。

 

たわんでいる床は、その上にいる人たちの平衡感覚にも悪影響を与えます。それを考えると、子どもたちが日常的に運動をする学校の体育館で不同沈下が起き、床の水平が保たれていないという事態は、非常に危険です。

 

特に小学校では、1階を使うのは低学年の児童や特別支援学級の児童です。身の危険を察知し回避する力が未熟な子どもたちですから、床の傾きは事故に直結しやすいのです。

公立校の場合、予算が取れず沈下修正が行えないことも

学校の場合、長時間を過ごす先生方が平衡感覚の異変に気づき、床の傾きを疑って教育委員会に相談するケースが多いのですが、しかし、地方の小さな自治体の公立校の場合、なかなか予算が取れず、沈下修正が行えないでいる場合も少なからずあります。

 

たとえば、三重県のある学校の体育館は緩やかに床面が窪んでいるのですが、そのために、バスケットボールのバウンドが変わってしまうのだそうです。冗談のような話ですが、実際にそこで運動をする子どもたちにとってはたまったものではありません。

 

バスケットボール部の顧問の先生は、こんな場所でバスケなどさせたくないと嘆いていましたが、予算の問題でなかなか手がつけられずにいます。

 

もうひとつ指摘しておきたいのが、学校の耐震化に関してです。現在、公立の小中学校の多くは耐震化工事を行っていますが、その工事というのは基本的には学校の壁を鉄骨などで補強し、建物を倒れないようにするというものです。

 

しかし実は、それだけでは不十分です。壁だけではなく床の損傷を防ぐための対策も同時に行う必要があるのです。

 

例えば体育館は、地震発生後の避難所として使われることがよくあります。ところが地震後に建物は残っていても、フローリングの木材がばきばきに割れて床がひどく損傷してしまうケースが多々あるのです。

 

そうなってしまうと、そこに住むことはおろか入ることすらできないでしょう。地震後も建物が機能し続けるためには、床も同時に調べる必要があるのです。

 

では、床はどのように調べるのか。まずは、地盤の状況と建物の傾きを調べる必要があります。それでなにも問題がなければいいのですが、もし地盤に空隙があったり、建物が沈下して傾いたりしているなら、それは床がゆがんだ状態になっているということの証明です。

 

地震が起きればそのゆがみにさらなる負荷がかかり、床が損傷してしまいますから、あらかじめ地盤の空隙を埋め、建物の傾きも修正しておくことが、万が一の床の損傷を防ぐことにつながります。

アップコン株式会社 代表取締役

1985年 武蔵工業大学(現 東京都市大学)建築学科卒業。
1988年 プラット・インスティテュート大学院(ニューヨーク)インテリアデザイン学科卒業。
1989年 オーストラリア・シドニーの大手建築設計事務所に勤務。日本担当部長として新規事業開拓を手がける。
1998年 設計施工一貫請負の会社をシドニーに設立。
2000年 特殊樹脂を使用する地盤沈下修正工法を知り、工法を習得。
2001年 同工法を用いた外資系土木会社の日本法人を設立。代表として、九州で事業を展開。
2003年 4月 独自に研究を重ね、ノンフロン材を用いた小型機械による新工法「アップコン」を考案開発。6月 アップコン有限会社(現 アップコン株式会社)を設立。代表取締役に就任、現在に至る。
2006年 EOY JAPAN 2006 ファイナリスト
2009年 ASPA Awards 2009 Excellence Prize 受賞
2012年 かながわビジネスオーディション2012 審査委員特別賞受賞、低CO2川崎パイロットブランド'11 受賞
2014年 奨励賞受賞(川崎市制90 周年記念表彰)

「夢の扉 ~NEXT DOOR~」(TBS テレビ)、「FNN スーパーニュース」(フジテレビ)、「ホンマでっか!? TV」(フジテレビ)など各種メディアにも多く取り上げられる。

著者紹介

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松藤 展和

幻冬舎メディアコンサルティング

4年前出版し関係者の間で話題沸騰したあの書籍が、「傾いた床」による様々なリスクを追加収録し、 【改訂版】としてパワーアップして帰ってきた! たった0.6度の床の傾きで、業務も傾く! 日本の建物の9割が地盤に起因…

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