12時間居座る…悪質業者の強引すぎる手口の数々
■建設業者からのアプローチには用心が必要
相続発生前・後にかかわらず地主が注意しなければならないのは、建設業者からのアプローチです。そこで、業者の中には、どうみても入居者が入りそうにない場所であっても「とりあえず作らせてしまおう」とばかりに、マンション、アパートを建てることを土地オーナーにしつこく勧めてくる者がいます。
このような業者は空いている土地をみたら、ひたすら夜討ち朝駆けで飛び込み営業をかけてきます。
朝10時に来たら夜10時まで帰らず、「とりあえず手付けを打ってください」「簡易な測量をさせてください」「契約書にサインを押さないと帰りません」などと言い続ける者もいれば、巧みに相手のふところにとびこんで、ひたすら情に訴えかけようとする者もいます。
私の知っている例では、父親が亡くなり母一人、娘一人となった農家の家に、業者の男性営業マンが毎日のように通いつめ、庭仕事や納屋の片付けなどを手伝っているうちに、いつのまにかマンションを一軒建てさせてしまっていたというようなケースがありました。
ちなみに、当初、私は、そのマンションを建てるべきか否かについて、とある金融機関のつてで母子から個人的に相談を受けており、収益面で疑問があったので考え直した方がよいとアドバイスをしていました。しかし、そんな私の存在を業者側が煙たがって、なんらかの「工作」をしたのでしょうか。母子は、いつしか私のもとを訪れなくなりました。
■無計画にマンションを建てた後に青ざめる土地オーナー
業者に言われるがままにマンション、アパートを建てている地主の中には、全く収支の観念がない人がいます。
ある確定申告業務だけを契約しているクライアントから「今年、こんなのを建てたのですよ」と、得意げな様子でマンションを建てたことを打ち明けられたことがあります。
しかし、よくよく話を聞いてみると、建築資金は全額借り入れしており、入ってきた家賃収入はそのまま元本と利息の返済に消えていくばかりで、手元には全くお金が残らないようでした。