日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、不動産にまつわる相続トラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

母が急逝…子どもを心配した父が家政婦を雇う

[登場人物]
●Aさん…父。会社創業者であり、現社長
●Bさん…長男。次期社長
●Cさん…次男。次期副社長
●D子さん…長女。きょうだいのなかで、唯一、父創業の会社と関わりがない
●Eさん…三男。次期専務
●Nさん…Aさん一家の家政婦

 

「びっくりしましたよ。急に態度が一変しちゃうんですから」

 

そう話すのは、Aさん一家で20年以上家政婦として働くN子さん。先日、主人のAさんが亡くなりましたが、そのあとに起こったきょうだい喧嘩を振り返りました。

 

Aさんは、50人ほどの従業員を抱える会社の社長を務めていました。その会社は、Aさんが30歳で脱サラして起こしたもので、創業から40年、休みらしい休みもとらずに働いてきた結果、大きくなった会社でした。

 

Aさんは脱サラする5年前に結婚。起業したときには、すでに長男と次男が生まれていました。起業し、段々と会社もまわり出したころ、Aさん40歳を前にして、長女と三男が誕生。Aさんは、忙しくも充実した毎日だったと、振り返っては何度も何度も思い出話をNさんにしてくれたといいます。

 

NさんがAさん一家を訪れたのは、Aさんが50代のころ。長男のBさん、次男のCさんが大学を卒業し就職、長女のD子さんが高校生、三男のEさんは中学生でした。きっかけは、Aさんの奥様の急逝。悲しみのなかでAさんが心配したのは、多感な時期であるD子さんとEさんの存在でした。

 

経営者として忙しく、なかなか親として子どもたちと接する機会がなかったというAさん。それでも一家が楽しく暮らせたのは、母親の存在があったからでした。その存在が急にいなくなり、どうしたものか、と考えたAさん。とにかく、いつも子どもたちのそばにいてくれる大人の存在が必要と、家政婦を雇うことに。Nさんが派遣されたのです。

 

Nさん、当時を振り返ります。

 

「男の子は、比較的すぐに打ち解けてくれたんですよ。問題はD子ちゃん。明らかに私のことを避けて、同時に、旦那様も避けるようになったんです。どうも私を再婚相手だと勘違いしていたようで。『お母さんが亡くなったのは、お父さんのせいだ!』と旦那様に怒りをぶつけていましてね」

 

 

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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