本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CI前月差+6.7で2ヵ月連続上昇、一致CI同+3.5と5ヵ月ぶりの上昇

 

6月分の基調判断は「悪化」で据え置き、8月分で「下げ止まり」に上方修正か

 

 

 

●6月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+6.7と2ヵ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの全系列が前月差プラス寄与度になった。

 

●6月分の一致CIは前月差+3.5と5ヵ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率、輸出数量指数の全系列が前月差プラス寄与度になった。

 

●一致CIの3ヵ月後方移動平均は前月差▲4.33ポイント下降し、9ヵ月連続の下降になった。7ヵ月後方移動平均は前月差▲2.60ポイント下降し、20ヵ月連続の下降になった。

 

●最近の、一致CIを使った景気の基調判断をみると、19年5月分~7月分は「下げ止まり」の判断だったが、19年8月分で「悪化」に下方修正された。19年8月分~20年5月分に続き、6月分も「悪化」継続である。

 

●「悪化」から「下げ止まり」に上方修正されるには、一致CI前月差が上昇、かつ一致CIの3ヵ月後方移動平均の前月差がプラスに変化し、プラス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累計)が振幅目安の+0.93以上になることが必要だ。仮に一致CI前月差が7月分、8月分とも+0.5ずつの上昇であるとすると、過去の数字が不変なら、8月分の一致CIの3ヵ月後方移動平均の前月差が+1.50となり、「下げ止まり」の条件を満たすことになる。

 

 

●6月分の先行DIは22.2%と6ヵ月連続で景気判断の分岐点の50%を下回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、マネーストック、東証株価指数の2系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列がマイナス符号になった。

 

●6月分の一致DIは12.5%と4ヵ月連続で景気判断の分岐点の50%を下回った。速報値からデータが利用可能な7系列中、商業販売額指数・小売業1系列がプラス符号に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の6系列がマイナス符号になった。

 

●8月26日発表予定の6月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は8月19日である。また在庫率関連データが8月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●6月分景気動向指数・改訂値で、一致CIには所定外労働時間指数が新たに加わる。本日発表された6月分速報値は73.5で5月分の68.0から上昇した。一致DIを考える時、比較対象の3月分には届かないので符号はマイナスになり、DIの下方修正要因になりそうだ。他の符号が不変なら一致DIは12.5%から11.1%になろう。6月分確報値の発表日は8月25日なので、26日発表の景気動向指数・改訂値では確報値が使われる。生産指数関連データが8月17日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データが8月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●7月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。消費者態度指数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差プラス、東証株価指数1系列は前月差マイナスである。

 

●また、7月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列で、全系列がプラス符号になることが判明している。7月分速報値段階の先行DIは44.4%以上100.0%以下になることが確定している。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年6月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

(2020年8月7日)

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

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