2020年4~6月期実質DP(第1次速報値)について

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

実質GDP成長率は前期比年率▲27.8%と、過去最大のマイナス成長

 

新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停滞で内需・外需とも落ち込む

 

残り3四半期が全て前期比年率+13.6%でも、20年度は▲4.5%成長

 

 

●20年4~6月期実質GDP成長率・第1次速報値は前期比▲7.8%、前期比年率▲27.8%となった。リーマンショック後の09年1~3月期の前期比年率▲17.8%を上回り、現行統計で遡れる1980年以降で最大の減少率となった。4~6月期では、新型コロナウイルスの感染拡大で4・5月に緊急事態宣言が発動された。経済活動が停滞したため、10年10~12月期、東日本大震災が発生した11年1~3月期、11年4~6月期以来の3四半期連続のマイナス成長になった。内需の前期比寄与度は▲4.8%、外需の前期比寄与度は▲1.9%だった。なお、20年4~6月期名目GDP成長率・第1次速報値は前期比▲7.4%、前期比年率▲26.4%となった。季節調整値は506.6兆円で直近のピークだった19年7~9月期も557.8兆円から51兆円低い水準になった。

 

●4~6月期の実質個人消費・前期比は▲8.2%と3四半期連続の減少になった。実質家計最終消費支出の前期比は▲8.6%の減少、実質国内家計最終消費支出の前期比は▲8.9%の減少である。その内訳をみると、耐久財の前期比は▲3.9%と2四半期ぶりの減少になった。半耐久財の前期比は▲3.3%で、こちらは3四半期連続の減少となった。非耐久財の前期比は▲3.3%と2四半期ぶりの減少になった。外出自粛によるレジャー関連や飲食といった消費の落ち込みでサービスの前期比は▲12.7%と大幅に減少、3四半期連続の減少になった。実質雇用者報酬は前期比▲3.7%と2四半期ぶりの減少になった。

 

●4~6月期実質住宅投資は前期比▲0.2%と3四半期連続の減少になった。

 

●4~6月期の実質設備投資・前期比は▲1.5%と2四半期ぶりの減少になった。なお、名目の前期比(季節調整済み)は▲3.0%と2四半期ぶりの減少である。法人企業統計との比較で参考になる、名目の前期同期比は▲5.0%と3四半期連続の減少になった。

 

●供給サイドのデータに基づいて算出した、4~6月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は▲18.3%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は▲31.8%であると公表された。法人企業統計が出た時に前年同期比が+0.1%程度より高いかどうか比較することで、4~6月期実質GDP成長率・第2次速報値での設備投資予測の参考となる数字だ。

 

●4~6月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.0%だった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫は前期比寄与度▲0.2%、流通品在庫は前期比寄与度+0.1%となった。また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は+0.1%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同▲0.1%だった。

 

●4~6月期実質政府最終消費支出は前期比▲0.3%の減少だった。また、実質公共投資は前期比+1.2%の増加になった。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.0%であった。公的需要の前期比寄与度は▲0.0%だった。

 

●4~6月期外需(純輸出)の前期比寄与度は▲3.0%と2四半期連続マイナス寄与になった。新型コロナウイルスの影響で世界的に景気が落ち込んだため、実質輸出は前期比▲18.5%と2四半期連続の減少になった。財は前期比▲19.2%と6四半期連続の減少、サービスは前期比▲15.8%と2四半期連族の減少だった。インバウンド需要が大きく落ち込んだことが影響している。実質輸入の前期比は▲0.5%と3四半期連続の減少になった。財に関しては前期比+2.1%と3四半期ぶりの増加となった。サービスは前期比▲10.6%と3四半期連続の減少になった。

 

●4~6月期のGDPデフレーターの前年同期比は+1.5%のプラスの伸び率になった。控除項目の輸入デフレーターが原油価格下落などで前年同期比▲12.1%のマイナスの伸び率になったことが影響している。国内需要デフレーターの前年同期比は0.0%の伸び率だった。一方、4~6月期の季節調整済み前期比をみると、GDPデフレーターは+0.5%、国内需要デフレーターは▲0.8%になった。

 

●20年度実質GDP成長率・内閣府年央試算・前年度比▲4.5%を達成するには、20年度残り3四半期全てで前期比年率+13.6%(前期比+3.24%)が必要である。見通し達成は厳しい状況と言えるだろう。19年度から20年度へのゲタは▲1.3%である。20年度残り3四半期前期比0.0%だと20年度実質GDP成長率・前年度比は▲9.1%のマイナス成長になる。20年度残り3四半期前期比+2.5%だと20年度実質GDP成長率・前年度比は▲5.6%のマイナス成長になる。

 

 

●先行き、7~9月期に成長率が注目される。ESPフォーキャスト調査8月調査の7~9月期実質GDP成長率見通しは34人の平均で前期比年率+13.26%、高位8人の平均は+19.10%、低位8人の平均は+7.88%、中央値+9.41%と4~6月期が大幅マイナス成長だった反動が出て高成長になることが予測されている。しかし、水準は低いままだ。2ケタのプラス成長になれば、東日本大震災からの回復がみられた11年7~9月期の+10.3%以来のことである。

 

●9月8日に発表される4~6月期第2次速報値では、9月1日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や在庫投資などを中心に改定される。

 

●法人企業統計では在庫投資の伸び率は名目の前年同期比で発表される。GDPの第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.4%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目でプラス寄与は原材料在庫だけで、残りはマイナス寄与。マイナス寄与が小さい順に、仕掛品在庫、流通品在庫、製品在庫が続くということだ。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年4~6月期実質DP(第1次速報値)について』を参照)。

 

(2020年8月17日)

 

宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
理事・チーフエコノミスト
 

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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