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自己判断せず、見えにくかったら受診を
「歳だから仕方ない」
「医者に行くほどでもない」
「もうちょっと様子を見てから……」
数ある体の不調のなかでも、眼に関してはよほど痛みや出血などの明らかな異常がなければ、医療機関へ行くのをためらってしまう……そんな人は多いはずです。
日ごろから大勢の患者さんを診ていると、「もっと早くくれば良かったのに」と口から出かかってしまうケースも少なくありません。自己判断してしまうことは眼の健康にとって、最も良くないことです。
白内障もしかり。ただ何となく見えにくい、といったすぐ診てもらわないと困るような症状ではないため、受診をつい先延ばしにしてしまう人も少なくないのが現状です。
しかし、これまでお伝えしてきたとおり、白内障を放っておくと、水晶体の劣化が進み、どんどん見えにくくなってしまいます。
それだけではありません。糖尿病網膜症や網膜剝離、網膜静脈閉塞症などの、ほかの病気を合併している恐れもあります。なかには、激痛を伴ったり出血したりして、失明に至る危険性の高い病気もあります。
進行した状態でいざ受診しても、水晶体の濁りが邪魔をして検査時に眼の奥（眼底）の様子が分かりにくくなります。
そのために、先に挙げたような失明の恐れがある病気の発見が遅れることにもなりかねません。
たとえ、白内障の合併症は起こしていなかったとしても、歳を重ねると白内障以外でも、さまざまな眼の病気を発症しやすくなります。まさか自分は、と思っていても、失明につながるような重大な眼の病気が隠れていることも考えられます。
明らかに見えなくなってから、あわてて受診しても時すでに遅しで、回復の手立てがなくなるケースも少なくありません。そうなると悔やんでも悔やみきれません。眼のなかのことは眼科での診察を受けなければ分かりません。見えにくいなと思ったら、早く受診することが大切です。
川原 周平
医療法人 iMEDICAL 川原眼科 理事長
眼科専門医
