水晶体の代わりとなる人工のレンズ
カメラでいうレンズの役割を持っている水晶体がなければ、見るものにピントを合わせることも、網膜に像を結ぶこともできません。
白内障はこの水晶体が役に立たなくなってしまう病気ですから、代わりとなるレンズを入れなければなりません。これを眼内レンズといいます。正面からみると、直径6㎜ほどの円形をしており、縁に眼内に固定させるための足(支持部)と呼ばれるパーツがついています。
レンズといっても、素材は柔らかいアクリル製が今は主流で、手術の際、折りたたんで眼の中に入れることができます。切開が2~3㎜程度と小さくてすむのはこのためです。眼内レンズの寿命は長く、一度入れれば一生持つほどです。例えば、先天性白内障といって、赤ちゃんのうちから白内障になってしまうケースでは、小さなお子さんに眼内レンズを入れることもありますが、それでもその後一生にわたり、入れ替える必要はありません。
眼内レンズの場合「ピントが合う距離」は決まっている
濁った水晶体を取り除き眼内レンズに置き換えれば、白内障の症状であるまぶしさやかすみ、だぶりなどのトラブルはなくなり、きれいに見えるようになります。
ただ、眼内レンズは水晶体と違い、それ自体の厚みや形を変えられないため、ピント調節を自動で行うことはできません。ピントが合う距離はあらかじめ決められています。
日常生活の中で私たちは、いろいろな場所を見ています。遠くの看板を読むこともあれば、手芸や読書でごく近くを見ることもあるでしょう。さまざまな距離に、柔軟にピントを合わせられるレンズがあればよいですが、残念ながら人工のものである以上、限界があります。
ただし今は、レンズの種類が豊富になり、より自分のライフスタイルに合った、見えやすいレンズの選択肢が増えています。