経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』から一部を抜粋した原稿です。

新築物件は、購入後しばらくは手間いらず

これから初めて不動産を買う人にとって、「新築」は高嶺の花。価格が築年数の古い中古物件よりも高いため、買いたくても買えない人は多い。そんな新築のメリット、デメリットを挙げてみよう。

 

〈新築のメリット〉

〇新築は入居者を募集しやすく空室の不安はあまりない。経年しても、しばらくは人気が高い

〇家賃を高めに設定できる

〇修繕コストが低い

〇融資が受けやすい

〇売却しやすい

 

新築は、新築ということだけでプレミアがつく。不動産会社も、新築物件は高く貸せるとあって、積極的に募集をする。募集時期さえ外さなければ、空室の不安を抱えることもない。すべてが新品の状態であるため、最初の8年くらいまでは、室内の設備が故障するリスクが低く、退去が発生した後の新規募集も、原状回復のみでできる。結果として、ほとんど修繕コストがかからず、空室対策を施すなどの手間がかからない。

 

取得する際の融資も、新築の方が中古よりも良い条件で融資を受けやすい。長い期間の融資を組むこともできる。融資期間については意見が分かれるところだが、第4章で説明するように、基本的に融資期間が長い方が手元に残るキャッシュが多い。手元のキャッシュが多ければ、次に購入する不動産の資金として投入することができる。金利も中古よりも低い金利で融資を受けやすい。

 

さらに売却の際、長期譲渡所得税が採用される5年超持ち続けても、築年数10年以内の築浅物件 として売りに出せるので、買い手がつきやすいというメリットもある。

 

〈新築のデメリット〉

〇購入価格が高く、中古に比べると利回りが低い

〇土地を探し、建築しなければならない

〇建物が完成するまで、土地代の借り入れ返済が厳しい

 

新築は価格が高いため、資金力に余裕がなく自己資金をあまり用意できないと、利回りが低いため経営が厳しくなる。借入比率が高いと、満室でも手元に残るキャッシュは少なくなる。しかも、経年して入居率が低下すると、さらに返済が厳しくなる。

 

また新築は、建て売りで販売に出ている物件以外は、土地から探さなければいけない。たいてい は、新築アパートやマンションを販売する会社が土地を紹介してくれるが、中には地域相場よりも高い価格で販売し、一儲けしようと考える業者もいるため、気をつけなければいけない。また、土地をまず購入して、その後建物を建築するため、土地購入代を借り入れでまかなう場合、その土地からの収入がない中で返済しなくてはならないため、財務的に厳しくなる。

 

以上のように、新築はメリットが多いが、資金力がないと金融機関から融資を受けることができたとしても、なかなか利益を上げにくい。土地を契約してから建物工事中の期間は自腹を切って返済しなくてはならないので、資金的余裕がない場合は実現が難しい。

次ページ中古物件は工夫次第で利回りを高められる
1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録