(※写真はイメージです/PIXTA)

iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度改正により、50歳以上を対象とした「追加拠出枠」の導入が現実味を帯びてきました。本来なら「非課税で積み立てられる枠が増える」という喜ばしいニュースのはずですが、SNSやネット掲示板では、就職氷河期世代を中心に「結局、年金だけでは生活できないという白旗宣言ではないか」と怒りの声が渦巻いています。かつて「失われた時代」を生き抜き、ようやく老後がみえてきた世代にとって、政府の「自助努力」の押し売りとも取れる姿勢は、公的年金への不信感を煽る火種となっているようです。しかし、感情を一度脇に置いて冷静に制度を見渡せば、世間で囁かれる「年金破綻論」がいかに非現実的であるかわかります。本記事では、日本の年金制度についてFP1級の川淵ゆかり氏がわかりやすく解説します。

iDeCo追加拠出枠の背景

現在、政府の経済財政運営方針や令和7年度税制改正のなかで、

 

・企業型DCとiDeCoの拠出限度額引き上げ

・60〜70歳への加入拡大

 

といった老後資産形成の強化策がまとめて議論されています。そしてこれを背景として、政府方針や審議会資料のなかで、50歳以上限定の「追加拠出枠」の検討・制度設計が現在進んでいる段階です。

 

なお、あくまで50歳以上だけを対象とした独立の「追加拠出枠」をどうするかについては、審議会での議論や検討方向が示されている段階(現時点では検討段階)であり、

 

・具体的な金額

・開始年

・対象の細かい条件

 

などは、最終決定として確定している状況ではありませんのでご理解ください。

SNSなどで噴出した怒りの声

こういった「50歳以上向けiDeCo追加拠出枠」構想は、「就職氷河期世代の資産形成支援」として打ち出されました。

 

就職氷河期世代(40代~50代半ば)は長期にわたる非正規雇用や賃金格差、結婚や持ち家の機会損失といった構造的な不利を背負わされてきた世代だと指摘されています。そのため、SNSなどでは次のような声が多くみられます。

 

・老後の年金制度は破綻するからアテにするな、という意味になるのではないか。

 

・若いころに正社員になれず、賃金水準がずっと低く、そもそも投資に回すお金がない。→正社員になれた人や成功者との資産格差は広がる一方である。

 

・20代〜40代の「積み立てるべき時期」を失ったのに、50代になってから「さあ投資をして老後に備えろ」というのは現実をみていないのではないか。

 

・政府の失政で生まれた氷河期問題を、最後は本人の「自助努力」で帳尻合わせをさせられるのではないか?

 

上記のような声から「私的年金や投資の拡充」は、「年金制度が守ってくれる」というメッセージよりも、「『結局は自分でなんとかしろ』という白旗宣言」と受け止められやすい状況であると思われます。

次ページ「老後の生活費のすべてを公的年金が賄うわけではない」と政府は明言

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