家計に余裕なし、それでも娘たちに食料を持たせる母
地方の小さな町で暮らす佐藤洋子さん(仮名・69歳)は、帰宅しようとする長女の車にスーパーの袋を積み込んでいきました。
「お米、持っていきなさい。卵も安かったから買っておいたよ」
米、野菜、冷凍した肉、レトルト食品、洗剤、トイレットペーパー――。毎月のように繰り返される恒例行事です。
「ありがとう、お母さん。すごく助かる」
そう言って受け取る娘たち。長女は夫と子ども2人の4人暮らし。次女も30代後半で、一人暮らしをしています。
以前は「こんなにいらないよ」ということもありましたが、物価高の影響で家計が厳しいのか、いまや「おすそわけを受け取る前提」で家に来ている。そんな雰囲気が感じられました。
洋子さん夫婦は年金生活。夫は72歳で、夫婦の年金額は月21万円ほどです。住宅ローンは完済していますが、築30年を超えた自宅の修繕費、車の維持費、医療費などの負担は年々重くなっています。
貯蓄は、いつのまにか900万円を切りそうなところまで減っていました。90代まで生きることを想定した場合、余裕のある残高とはいえません。
「貯金が減っちゃって、すごく不安なんですよ」と語る洋子さんですが、その実情を娘たちは知る由もありません。
