片道1時間半以上を通勤に費やす意味を考えたことは?
■リスクを抑える分散投資
証券会社時代は数年ごとに転勤があり、私はそのたびに単身赴任していました。たとえ、自宅から電車で通える距離の赴任先であっても、です。仮の住まいとして、仕事場から数分という徒歩圏内の場所を選んでいました。通勤ラッシュに巻き込まれながら、時間をかけて職場へ通うことは絶対に嫌でした。
というのも、私は中学高校時代、すし詰め状態の電車に揺られながら、往復3時間をかけて毎日通学していたのです。人生を損しているような気がしてなりませんでした。6年間でロスしたものは計り知ることができません。この経験から、私は通勤時間を常に10分以内にしています。
通勤通学に捧げる時間や体力というのも、私は一つの投資であると思っています。
リスクがあり、リターンがあります。地価の安いところに居を構え、片道1時間半以上をかけて職場へ通う人がいます。確かにコスト面では恵まれていて、金銭的なリターンが期待できるでしょうが、結果的に大きなリスクを冒していることもあり得るのです。通勤時間に疲れ果てて、労働意欲を失ってしまったら元も子もない話です。
あくまで私の場合ですが、住まいが職場に近ければ近いほど、仕事に打ち込め、ストレスを溜めることもなく、最大限のリターンを受けられると考えました。だから、職場から数分という住まいを借り、仕事へ専念するようにしてきたのです(ただこの生活を選んだことが、課長になった直後にうつを発症した要因の一つになった可能性も否めないのですが……)。