「住宅ローンという投資」の危険性に気づいているか?
もちろんこの生活には、賃料というリスク(コスト負担)がかかってしまいます。しかしその分、仕事で大きな成果を出せるという、リスク以上のリターンが見込めたわけです。仕事への意欲を失ってしまうというリスクを軽減させるための、自宅と単身赴任先への居住費負担。いわばこれも「分散投資」の一つではないでしょうか。
人によって人生観や価値観はさまざまでしょうが、どのような暮らしを選ぶにせよ、人生にはリスクとリターンがどちらも付いて回ることは間違いありません。
投資を行っていくうえでももちろん、このようなリスクとリターンを見極める力が必要です。そしてその力を養いたいのであれば、普段の暮らしのなかにおける選択肢を迫られるさまざまな場面で、リスクとリターンを想定することが大切かなと思います。そしてできるだけリスクを抑えるための分散投資を意識して、リスク以上のリターンが見込めることを確信してから、最終的な行動選択をするべきなのです。
■35年ローンというハイリスク
住居の話が続きますが、ローンを組んで家を買うことへのリスクといったら尋常ではありません。
例えば35年もの長期ローン返済計画を立てて家を購入することは、お金を借りて一つの銘柄に集中して高額投資をすることに近く、非常にリスクの高いことになります。家を買うことはかけがえのない安住の地という大きな資産を得られるリターンがある一方で、十分にリスクを踏まえないといけません。
もし住居に欠陥があったら? 水害や地震によって住めなくなったら? 経済が停滞し資産価値が著しく落ちてしまったら? そのような将来訪れるかもしれない事態を想定していくと、借金をしてまで家を買うことには、たくさんのリスクが付きまとうことを実感します。
私はローンを組んで家を買うことを良くないといいたいわけではありません。ローンを組んで買う際は、リスクとリターンを十分過ぎるほどに吟味し、慎重に検討を重ねることが不可欠だといいたいのです。これもまさしく投資なのですから。