資金の流れを変えた「ライブドアショック」
■新興勢の衰退
新興株で躍進していたインターネット関連事業のライブドアが、2006年1月16日、証券取引法違反の容疑により東京地検の捜査を受けました。この報道を受け、ライブドア株は売り注文が殺到、上場企業全体の株価暴落の引き金となります。
ライブドアは自社株の売買によって得た「資本金に計上されるべき資金」を収益として計上し、2004年9月期の決算にて実際は3億円の赤字だったにもかかわらず、50億円の黒字であると偽ったのです。
50億円という金額自体は過去の粉飾決算に比べると少額でしたが、投資家の判断を狂わせる目的があり悪質だとして、厳罰が科されました。ホリエモンこと堀江貴文氏が逮捕され、経済界だけでなく多くの業界に衝撃を与えた出来事として記憶に残っています。
本題はここからです。東京地検の捜査を受けた翌日の17日、マネックス証券が信用取引を行う投資家が担保にしていたライブドア関連株について、「担保としての価値がなくなった」という判断を下します。そのため投資家たちは新しい担保をつくる必要があり、保有しているほかの株式の売却に走りました。この出来事をマネックスショックと呼びます。売りが相次いだ結果、東証一部に上場している銘柄の、実に90%が値下がりする、とんでもない事態となったのです。
ライブドアショックの最中で値下がりした銘柄というのは、投資家たちの資金集めによる応急処置の結果であり、必ずしも各企業の本質的な価値を反映したものではありません。一時的に安値感が際立った銘柄も多かったことでしょう。いわば被害者なのです。
この一連の危機の最中も、気持ちを強く保ち、安値だと感じた銘柄を拾っていけた投資家は、その後の中大型株の堅調な推移のなかで、大きな儲けを出すことができたはずです。