本記事では、収益物件の売買や仲介事業を展開する株式会社BRAVEの代表取締役・山部和孝氏が、同業だからこそ見えてくる不動産投資の実態について、投資家から寄せられた意見を取り上げながら解説していく。 ※本連載は、『投資会社トップが激白!業者が「投資家を騙す」30のワード 不動産業者のハナシは信用するな』より一部を抜粋・編集したものです。

「これだけ儲かる」と夢想した哀れな初心者の末路は…

それでも低ければ、広告費(オーナーの金)をかけて入居者の募集を強化する。それでもダメなら、フリーレントで借りられるという設定で、とにかく入居させてしまう。そうやって、入居率を高水準で維持させているのである。フリーレントの名前通り、お金の面では空室と変わらないが。

 

さて、そんなことを知らない顧客はどうなるか。

 

まずは売却金額と表面利回りをチェックして、諸経費を勘案しながら実質利回りを出そうとする。この表面利回りは、入居率100%での計算だから、実質利回りの計算時は単純に入居率を掛ける。そして、勝手に「これだけ儲かる」と想像するのだ。

 

だが、考えて欲しい。先のように入居者募集を強化すれば、広告費がかさむ。フリーレントにしてしまえば、その期間は収入もゼロのまま。それらも本来は実質利回りを算出する際の諸経費に含まれるものだが、中身がどうかを管理会社も自ら進んで話すことはないだろう。そうして、想像していた利回りと大差がついてしまう。これが積み重なって利益が減少したり、最悪のケースでは赤字に陥ったりするのだ。

 

こういう事態を防ぐにはどうするかは簡単だ。1年間のトラックレコードを要求すればいい。出さない売主や管理会社は、一言で言えば信用できないヤツだ。

 

また、1年の修繕リストを開示してもらえれば修繕の予測もつく。最後に業者に依頼して募集資料をいただけば完璧だ。募集資料に広告料やフリーレントといった条件が載っているので見ればわかる話だ。

 

あとは、2018年のように天災が度々起こることで諸経費が増えるということもある。これも直接的な被害は保険で補償されることもあるが、例えば広範囲にわたって被害が生じた影響で、仮復旧工事をくり返して本工事を待つということもあり得る。その間も空室になってしまえば、またしても家賃収入が減る。さらに、その物件に住めないという状態に陥ってしまえば、移転費用も発生することになるだろう。そうなると、儲けはどんどん減っていく。

 

一つアドバイスをするならば、実質利回りはある程度厳しい数字で計算していくしかない。少なくとも、年間収入の1割相当は経費として見るべきだろう。さらに言うと、余計に広告費がかかるような人気のないエリア、業者がなかなか見つからないようなエリアは避けるべきだ。単に価格や業者が算出した利回りを鵜呑みにせず、自分で判断して、本当に信頼できるプロの判断をもらうクセが必要だ。

次ページ「プロにお任せください」を安易に信じたところ…

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