どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、京王線「千歳烏山」。

線路に分断された、商店街が中心の街

「千歳烏山」は東京都世田谷区に位置する、京王電鉄京王線の駅です。1日の乗降数は8.3万人ほど。2015年から準特急の停車駅になり、近年、利用者が増えています。

 

駅があるのは「南烏山」。地名の由来には諸説ありますが、歴史をさかのぼると、南北朝時代には、すでにこの一帯は「烏山」と呼ばれていました。世田谷の表土の多くは、植物が堆積した「黒土」。それを由来に「烏(からす)」を当て、耕作地や自然の地盤に対して「山」という字を当てた、という説が有力です。ほかには「黒色のアス(灰)の山」が転縮し、「クロアスヤマ」、そして「カラスヤマ」と変化した、という説もあります。

 

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「千歳烏山」といえば、都内屈指の商店街。駅北口と南口を横断するように広がる「烏山駅前商店街」、通称「えるもーる烏山」は、中小企業庁の「がんばる商店街77選」にも選ばれたことのある、いわば、商店街の優等生といえる存在です。

 

この商店街を一躍有名にしたのが「スタンプ」。高度成長期、駅近隣に大型スーパーが出店することになり、また「新宿」「渋谷」「吉祥寺」などの近隣繁華街との街間競争も激化しました。そのようななか、商店街の存続をかけて始めたのがスタンプ事業です。

 

商店街の買い物や飲食100円につき1ポイントが貯まります。そのポイントで買い物ができたり、地元の指定金融機関で預金としても取り扱えたりと、まさに地域通貨としての役割を担っています。昨今はポイントカードに「高齢者向けの見守り機能」を付加させたり、地域のボランティア活動に対してポイントが付いたりと、先進的な取組みがされています。

 

駅は地上駅。階段の上り下りなく乗車できるので、利用者としては嬉しい限り。ただし、駅の横には悪名高き開かずの踏切があります。特に朝のラッシュ時、踏切を抜けるのはひと苦労。さらに駅の北側を走る甲州街道から入ってくる車も多いうえ、道幅も広いとはいえず、歩行者はヒヤヒヤする場面も。

 

そんな道路事情も、京王線の高架化で一変するかもしれません。現在、京王電鉄では「笹塚」駅から「仙川」駅間で連続立体交差事業を進めていますが、それにより25箇所の踏切が解消。用地取得の状況によりますが、2022年の工事完了を目指しています。「千歳烏山」駅は高架駅にとなり、対向式2面2線から、2面4線に拡張。温かみある色彩に粗目の格子による駅舎デザインも発表されています。長年懸念だった、線路による街の分断が解消され、街の利便性が向上すると期待感が高まっているのです。

 

京王線の踏切。長年のストレスが緩和される
京王線の踏切。長年のストレスが緩和される

 

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