どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、JR、西武鉄道、東武鉄道、東京メトロが乗り入れる「池袋」。

日本で第2位の巨大ターミナルができるまで

「池袋」は東京都豊島区に位置する、JR、西武鉄道、東武鉄道、東京メトロの4社が乗り入れるターミナル駅です。

 

JRは山手線、埼京線、湘南新宿ラインの3線が乗り入れ、1日の乗車人数は56万人強。西武鉄道は池袋線が乗り入れ、1日の乗降者数は48万人強、東武鉄道は東上線が乗り入れ、1日の乗降者数は47万人強。東京メトロは丸ノ内線、有楽町線、副都心線が乗り入れ、1日の乗降客数は57万人強(東京メトロ線間の乗換人員を含まない)。JRのみ「新宿」駅に次いで第2位ですが、西武鉄道、東武鉄道、東京メトロは、それぞれ自社内で一番利用客の多い駅となっています。

 

地名の由来は、駅西口の「ホテルメトロポリタン」の一帯に存在した「丸池」と呼ばれる池が、袋の形をしていたから…など諸説あります。ちなみに、この池は完全に埋め立てられ、跡地に作られた「元池袋史跡公園」には「池袋地名ゆかりの池」の碑が建っています。

 

もともと、池袋周辺は東京近郊の農村でしたが、鉄道の開通で大きな発展を遂げていきました。まず1885年、日本初の私鉄である日本鉄道が品川線(現在の山手線・赤羽線)を開業。1903年、田端駅への支線を建設する際に「池袋」駅を開設して、分岐することになりました。1914年には、東上鉄道によって、東武東上線の前身となる「池袋」~「田面沢」(埼玉県川越市小ケ谷周辺に存在した駅)を開業。1915年には武蔵野鉄道が、西武池袋線の前身となる「池袋」~「飯能」間の運転を始めました。

 

明治から大正時代にかけ、「池袋」ではターミナル駅としての基盤が形作られたわけですが、戦後も駅としての拡大は続きます。1954年、営団地下鉄(のちの東京メトロ)丸ノ内線、1974年には営団地下鉄有楽町線、2008年には東京メトロ副都心線が開業。こうして巨大ターミナル駅は誕生し、現在に至ります。

 

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駅としての機能が拡大するにしたがって、駅周辺では繁華街が形成。その規模は徐々に大きくなっていきました。もともと、城北エリアの繁華街といえば隣の「大塚」駅で、「池袋」駅は東京学芸大学の母体のひとつである豊島師範学校や、立教大学などの教育機関が集まる文教地区の様相を呈していました。

 

そこに1933年、京浜百貨店が「菊屋デパート」として出店。武蔵野鉄道によって買収されたのを機に武蔵野百貨店となり、その後、1949年に西武百貨店と改称しました。続いて1962年には東武百貨店が本店を開店。そのほか、1957年に三越、1968年にパルコが開店。池袋は百貨店が集積する繁華街へと成長していきました。

 

そして、1978年には、今でも池袋のシンボルである地上60階、地下4階の高層ビル「サンシャイン60」を含む「サンシャインシティ」が誕生。もともとは、東條英機らA級戦犯と、BC級戦犯が処刑された「巣鴨プリズン」があった場所で、完成当時は、アジアで一番高いビルでした。

 

池袋 サンシャインシティ
池袋 サンシャインシティ

 

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