どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、西武新宿線「鷺ノ宮」。

西武池袋線、JR中央線と比べると…

「鷺ノ宮」は東京都中野区に位置する、西武鉄道新宿線の駅です。1日の乗降数は3.3万人ほど。新宿線内中野区の最西端の駅で、隣の「下井草」駅は杉並区に位置します。

 

駅名では「鷺ノ宮」と記しますが、住所表記は「鷺宮」。その地名の由来は、駅南口にある「鷺宮八幡神社」。1064年、東国を平定した源頼義が戦勝に感謝し、鎌倉街道に面したこの地に八幡神を祀った社殿を建立しました。1884年に編纂された武蔵国の地誌『新編武蔵風土記稿』に「古ハ大木数多アリテ多クノ鷺ヤドリシユヘ、土人、鷺ノ森或ハ鷺ノ宮ナドイヘリ」と記されている通り、その境内には多くの古い大樹と多くの鷺(サギ)が住んでいたことから、その土地に住んでいた人たちは神社を「鷺宮大明神」と呼ぶようになったとか。それが地名の由来になったと考えられています。

 

もともとこのエリアは東京郊外の農村でしたが、開発が始まったのは、1923年、関東大震災のあとのこと。都心で被災した人たちが郊外へと移動していきましたが、ここ鷺宮でも宅地化が進行。こうして1927年、「鷺ノ宮」駅が開業するのです。

 

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駅の周辺は、基本的に閑静な住宅街が広がります。駅北口と駅の西を南北に走る「中杉通り」に商店が点在。160ほどの店で構成される「鷺宮商明会」は、飲食店や生鮮食品、クリニックなどを中心とした使い勝手のいい商店会で、ゆるキャラとして「さぎプー」も登場。地域や中野区のイベントでも活躍しているとか。駅近くには図書館や体育館、郵便局などの公共施設も揃い、良好な住環境が形成されています。

 

そんな「鷺ノ宮」ですが、西武新宿線の駅であることをネガティブにいう人もいます。西武新宿線は、南にJRの中央線、北に西武池袋線が平行するように走っています。中央線沿線には「中野」「高円寺」「阿佐ヶ谷」「荻窪」……と、メディアでも取り上げられることの多い人気の街が並び、西武池袋線は西武鉄道の主力路線として高架化など整備が進められています。西武新宿線も西武鉄道の主力路線ですが、西武池袋線と比べて、整備の遅れが指摘されているのです。

 

両線に比べて、どうしても地味な印象を否定できない西武新宿線、そして「鷺ノ宮」。閑静で落ち着いた街と捉えるか、活気がなく寂れた街と捉えるか、人によって評価は分かれそうです。

 

西武鉄道新宿線
西武鉄道新宿線

 

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