日本において政府や専門家会議が、国民にしっかりと説明していない「新型コロナウイルスの収束に関するリアル」を、わだ内科クリニックの和田眞紀夫医師が語った。※「医師×お金」の総特集。GGO For Doctorはコチラ

抗体検査ができるようになるまでは、ひたすら自粛を

それでは今後の出口戦略はどうしたらよいのか、筆者が考えるロードマップを列挙してみる。まず、働き盛りの年代の人達は普通の生活に戻る。退職した年代の人達は出歩かない。特に若い人と接触しない(子供の感染率は比較的低いようだから、子供との接触は、その親よりはましかもしれない)。

 

社会全体の感染者がまた増えてきたら、若い世代ももう一度自粛、落ち着いたらまた解除、それを繰り返す。感染して治った人は免疫ができているので、どんな時期でも全く制限なく暮らしていい(知らない間に罹って、治って免疫が付いた人、つまり抗体検査で陽性の人が一番安心ということになる)。

 

だから抗体検査ができるようになったら、時々測ったらいい。それまでは、ひたすら自粛。いつまでたっても旅行すら行けないなどということは厳しいけれども、死んでしまってはもっと厳しい(誰でも死の危険性があることが現実であることを志村けんさんや岡江久美子さんが教えてくれた)。

 

最後に社会封鎖についていうと、完全解除をせずにダラダラと部分的な制限を続けるのは一番効率が悪い(効果が少ない割に文化・経済活動への影響が大きい)。したがって、一旦は、1ヵ月とか2ヵ月とか期間を限定して規制を全面解除し、その間に次の自粛期間に備えた蓄えができるようにすべきだ。

 

感染はもはや封じ込められないのだから、社会が集団免疫を獲得するためにも過度に社会抑制をかけ続けるのは得策ではない。ライブハウスなどは再開すればまたクラスターが発生すると心配するかもしれないが、封鎖を続けて再興の機会を全く与えなければ、ついには多くの伝統・文化が完全消滅してしまう。

 

たとえ散発的にクラスターが発生したとしても、感染が蔓延している現在の状態では大勢に大きな影響はない。コロナの流行は収束するものではないということを理解して、現状に即した対応に方向転換していくことが望まれる。

 

 

和田 眞紀夫

わだ内科クリニック

 

本連載は、医療ガバナンス学会のメールマガジンを転載したものです。記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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