日本の政府や専門家会議は、しっかりと説明していない
では、今一生懸命何をやっているのかというと、いっぺんに多くの人が感染したら、いっぺんに重症の人がでてしまって手に負えなくなるから、いっぺんに多くの人が感染しないようにさせているということだ。
よって、これからの数ヵ月で新たな感染者が減ってくるかどうか、今後の感染者の推移予想をすることに、実はそれほど大きな意味はない。封じ込められるかどうかが問題になっているときは、封じ込められるかどうかの予想が大切なのだが、今やこのウイルスの「封じ込め」はできないということがわかってきているのだから。
でもそのことは、日本の政府や専門家会議もあまり説明していないこともあり、多くの人は自粛解除の先には感染の収束があると思い込んでいるのではなかろうか。
嫌でも感染する人は少しずつ増えていって、最終的には6〜7割の人が感染するわけだが、今の日本で既に感染している人の割合はまだ5%ぐらいだということが抗体検査でわかってきた。ということは裏を返せば95%の人はまだ感染していないということだ。
東京都で180人(5月9日現在)が亡くなっているが、逆算すると致死率が1%なら東京だけで1万8000人が感染していなければ数が合わない(発表では5月9日現在で4,846人)。だから隠れ陽性者が今の何倍もいる可能性は高く、山中伸弥教授をはじめ多くの専門家がそう指摘している。いずれにせよ日本での感染拡大はまだ序の口ということで、これから1年も2年もずっと気を付けていかなければいけないということだ。
でも経済活動への影響を考えたらずっと社会封鎖はしていられないので、いったん解除の方向へ向かっているというのが今の状況だ。
60歳以上でまだこのウイルスに感染していない人は感染すると命の危険があるという状況はずっと続くので、60歳以上の人は今年いっぱい旅行などはしないで、社会から距離を置くこと(なるべく人の多いところに行かない、公共交通機関には乗らない)を守るようにしたほうが安全だ。一方、若い人が重症化する可能性は低いのだからまずは大丈夫なはずで、感染して免疫がつけば、ほとんど関係なくなる。