コロナ禍の終息が見えたベトナム、最新の不動産価格推移を解説

新型コロナウイルス感染症への対策が奏功したベトナムでは、いち早くコロナ禍の終息が見えてきました。しかし、段階的な制限解除は進んでいるものの、外国人の入国は引き続き厳しく制限されるなど、以前と同じ状況には戻っていません。そのようななか、不動産市場の動きはどうなっているでしょうか。実際の物件価格を取り上げながらプロが分析します。本記事では、現地で不動産ビジネスを展開する筆者が、加速度的に発展するベトナムの現況とともに、ベトナム不動産市場の見通しを解説します。

制限解除が進み、日常が戻りつつあるベトナム

5月14日時点のベトナム保健省の発表によると、ベトナム国内での新型コロナウイルスの陽性事例は計288名(うち252名は治癒)であり、死者は出ていません。

 

ベトナムでは、新型コロナウイルス感染拡大にともない、4月1日~4月15日まで市民生活や経済活動を制限する社会隔離措置を実施しました。その後は感染状況を見極め、段階的に制限を解除し、4月23日時点で一部感染者が集中している地区を除き、すべての制限が解除され、現在は通常の状態に戻りつつあります。ベトナム政府はそれに基づき、新型コロナウイルス感染症の終息宣言と、今後の長期的な感染症防止戦略の発表を検討中です。

 

しかしながら、海外からの入国は現時点でも厳しく制限されています。ベトナムへの入国は政府の許可が必要であり、また、そもそも航空機の運休が続いているため、事実上外国人は入国できない状態が続いています。

 

4月21日掲載の記事『新型コロナ抑制に先んじるベトナム政府…不動産業界への影響は』でも詳述したように、外国人をターゲットにした事業は大きな痛手を受けています。不動産市場も例外ではなく、外国人向け不動産のみならず、ベトナム人向けの不動産にも影響が出はじめました。

 

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コロナ感染症の終息宣言と、今後の長期的な感染症防止戦略の発表を検討中

 

改めてベトナム人の不動産投資の手法と傾向をおさらいしてみましょう。

 

●短期転売

プレビルド販売による物件権利の転売と中古物件転売があり、転売までの期間は3ヵ月~6ヵ月程度。

※プレビルド:建設工事が着手される前に物件を購入すること。日本ではあまりなじみのない方法だが、東南アジアのコンドミニアム売買などでは一般的。完成引渡まで2~3年程度かかる。 

 

●短中期転売

短期転売と同じ動きになるが、プロジェクト内の物件がすべて完売してから転売を行う点が異なる。転売までの期間は完成までの6ヵ月~2年程度。

 

●中期転売

住居用もしくは賃貸用として購入し、不動産市場が上昇するタイミングで転売を行う。この手法を活用するのはアッパーミドル層が多い。転売までの期間は物件引渡後1年~5年程度。

 

●長期転売

賃貸用もしくはそのままスケルトンで長期保有し、転売を行う。この手法を活用するのは富裕層に多く、資産をお金やゴールドではなく、土地や建物の形で残す。転売までの期間は5年以上。

※スケルトン: 建物が壁・柱・天井のみの状態にあること。スケルトンで引渡しされた入居者は、内装や設備を自由に設計できる。

 

現在、新型コロナウイルスの影響を最も受けているのは「短期転売」と「短中期転売」です。その場合、人気のプロジェクトや人気の中古物件を見越して自己買いを行いますが、そもそも自己資金が乏しく、金融機関や親族、知合い等々から借入して短期購入資金を調達する人が多いのです。

 

プレビルドの場合は、完成までの期間中、平均10分割で支払うケースが多く、仮契約から6ヵ月までは物件価格の30%程度の支払いになるため、手元に30%の原資を用意しておき、購入後、6ヵ月の間に10%程度の利益を載せて転売するのがパターンです。

 

中古転売の場合は、事前にある程度購入希望者を絞って物件を調達し、15%~30%程上乗せして転売を行います。コストパフォーマンスのよい人気物件のセレクトが前提になりますが、売出しのタイミングも踏まえ、早めに売り抜けて利益を稼げる反面、買手がつかなければ、追加で物件代金の支払いや借入金利を支払う必要があります。万一支払いが滞った際には、プレビルド物件の場合は販売契約解除による支払済み金額の没収、金融機関の場合は担保の売却等があります。親戚や知人からの借入の場合は、原価割れとなっても損失を最小限に抑えて売却するといったことが多く行われます。

ベトナム人購入権利物件別の「最新転売価格」

従来プレビルド物件は、デベロッパーの価格に10%程度を載せた売り出しが通常でしたが、現在は3~5%の物件が目立ちます。しかし、それでも売れ行きはよくありません。中古転売においては、コロナ以前の2019年後半の売出し価格より5%~15%程減少しています。

 

では、現在のベトナム人購入権利物件別の最新転売価格をご紹介しましょう。

 

●VINHOMES Central Park 

(内装設備、税金、登記簿込、サンプル数8件)

売出価格:150,479~408,444米ドル(53.3㎡~126㎡)

平米単価:2,414~3,315米ドル

平均平米単価:2,996米ドル

 

●VINHOMES Golden River 

(内装設備、税金、登記簿込、サンプル数5件)

売出価格:240,767~472,935米ドル(53㎡~78.5㎡)

平米単価:4,186~6,025米ドル

平均平米単価:4,733米ドル

 

●MASETERI Thao Dien 

(内装設備、税金、登記簿込、サンプル数7件)

売出価格:150,479~176,276米ドル(63㎡~74㎡)

平米単価:2,271~2,613米ドル

平均平米単価:2,375米ドル

 

●CITY GARDEN 

(内装設備、税金、登記簿込、サンプル数6件)

売出価格:17,976~339,653米ドル(68.8㎡~147㎡)

平米単価:2,283米~2,562米ドル

平均平米単価:2,354米ドル

人気物件「Central Park」最新の転売物件情報

以下に物件の具体例として、人気の高い「Central Park」の最新の転売物件情報をご紹介します。

 

最盛期は、外国人物件が平米単価4000米ドル、ベトナム人権利物件が平米単価3500米ドルで推移していましたが、現在は、外国人物件が平米単価3500米ドル、ベトナム人物件が平米単価2414~3227米ドルにて推移しています。
 

現在は外国人物件が平米単価3500$、ベトナム人物件は平米単価2414$~3227$で推移している
[図表]Central Parkの最新転売物件情報 現在は外国人物件が平米単価3500$、ベトナム人物件は平米単価2414$~3227$で推移している

 

上述したように、外国人の入国制限や外国人向け事業の事業悪化の影響もあり、ベトナム人不動産投資家も、当面は様子見での動きになると予想されます。市場取引も減少が見込まれ、当面は下落傾向が続くでしょう。それに伴って金融機関の融資も厳格になっており、いままでのような不動産融資は難しい状況です。しばらくは大きな動きをせず、市場の回復を待つのが得策だといえるでしょう。

 

VINA COMPASS Co., Ltd. General Director

沖縄県宮古島生まれ。久留米工業大学を卒業後、トヨタグループ系列の株式会社アイチコーポレーション入社。特殊車両メーカーの営業部門で16年勤務。
2004年、商談で訪れたベトナムホーチミンに魅了され、独立起業、単身にて渡越。 2006年、取引先の製薬会社と合弁で排水処理会社を設立。
国営事業であるホーチミン市病院排水処理事業の入札業者として認証を受け、在籍中235ヶ所の病院排水処理を手掛ける。2012年、合弁会社の株を売却。新たに浄排水処理会社としてSHINY VIETNAM社、不動産・建築会社としてSHINY REAL社を設立。現地企業やベトナム政府事業の実績を活かし、越人コミュニティに入り、浄排水処理事業を手掛ける傍ら、日系大手への環境コンサル支援や、現地最大手の不動産デベロッパー、VINHOMESの日系唯一の販売代理店としてCentral Parkプロジェクトの販売を手掛けた。2018年、SHINY社、合弁解消後、新たに独資でVINA COMPASS社を設立。不動産販売仲介、賃貸仲介、管理運営、内装工事、進出支援コンサル業を手掛ける。特に進出時の事業許可、会社設立時のリスクヘッジ関連を得意としている。

VINA COMPASS社ウェブサイト:http://www.vinacompass.com/

著者紹介

連載ASEAN諸国で最も熱いベトナム――現地から探る不動産投資と事業の可能性

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