ベトナム不動産開発プロジェクト「Grand Park」の投資価値

2020年4~6月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比0.36%増と、新型コロナウイルスへの早期対応の成果が見られたベトナムですが、不動産市場はどうでしょうか。本記事では、現地で不動産ビジネスを展開する筆者が、投資家の注目がとくに高いホーチミン市9区の大規模開発事業「VINHOMES Grand Park」を例に、不動産の市場動向とGrand Parkの投資価値を分析します。

居住者・来訪者合計20万人想定の大規模開発

ホーチミン市9区で進む不動産開発プロジェクト、「VINHOMES Grand Park」は投資家の関心が高く、筆者もこれまで何度か記事として取り上げてきました。また、投資家や読者からの問い合わせもよく入るため、ここではとくに質問の多い、投資物件としての可能性について検証してみたいと思います。

 

まずはGrand Parkの最新情報を紹介しましょう。

 

Grand Parkはホーチミン市の9区に位置し、1区の中心街から東に車で45分ほど(24.7km)の場所にあります。敷地面積271ha、約4万4,000戸超で、コンドミニアムを含む71棟のビルと戸建が建設されており、2023年中には全区画が完成予定です。

 

敷地内にはオフィスビル、ショッピングモール、運動場、病院、公園、幼稚園から大学まで、生活に必要なさまざまな施設も併設されます。住居者で単純計算した場合、ベトナム人ファミリー1戸あたり4人として、4人×4万4,000戸=約17万6,000人、学校やオフィス、商業施設に訪れる人々を含めると、約20万人規模の巨大都市となります。

 

ホーチミン市9区の遊園地「スイティエン公園」
ホーチミン市9区の遊園地「スイティエン公園」

過去に販売された「Central Park」との比較

では、同じくVINHOMESのプロジェクトとして過去に販売された「VINHOMES Central Park」と、今回のGrand Parkを比較していきましょう(下記図表参照)。

 

Central Parkは2014年、ホーチミン市の1区中心地の隣にあるBINH THANK区で行われた巨大不動産開発プロジェクトです。敷地内にLandmark 81(ベトナム一高い高層ビル)、17棟の高層ビルと戸建てを備えた約1万1,000戸規模の街を開発したもので、Grand Parkのモデルになったプロジェクトでもあります。

 

 

上記の比較表から改めて感じるのは、開発規模の巨大さです。Central Parkも大規模開発に位置づけられていますが、Grand Parkはさらにその4倍です。これほどの開発を行うことができるベトナム企業は、地場不動産のナンバーワンデベロッパーであるVINGROUPぐらいでしょう。

 

以下、気になる部分を比較していきます。

 

【入居者分布】

 

Central Parkは中心地に近いため、入居者の半数近くを外国人が占めており、主に賃貸での居住です。ベトナム人の場合は自宅用として購入している人々が多く、資産と投資の市場バランスが取れています。Grand Parkの場合は、立地の問題もあり、当面は居住用として購入するベトナム人が大半を占めると予想されます。

 

【販売価格】

 

★Central Park

平均単価 約2,200$/m2(付加価値税10%+修繕費2%込)

 

★Grand Park(2019年販売開始のプロジェクト「Rainbow」)

1,700$/m2~(付加価値税10%+修繕費2%込)

 

Central Parkの初期販売価格の1平米あたり平均単価は2,200$/m2(付加価値税10%+修繕費2%込)、昨年売り出したGrand Parkの「Rainbow」は1,700$/m2~(付加価値税10%+修繕費2%込)、今回売り出す「Origami」は2,240$/m2~(付加価値税10%+修繕費2%込)で、Central Parkの4年前の売出し価格とほぼ拮抗しています(2015年7月の外国人解禁以降のデベロッパーの売出価格で比較)。

 

1bed50平米で比較すると、Central Parkの販売価格は11万$(約1,166万円、付加価値税10%+修繕費2%込)、Grand Parkの「Rainbow」は8万5,000$(約901万円)です。ちなみに今回売り出す「Origami」は、平米単価2,240$で、1bed50m2で計算すると11万2,000$(約1,190万円、付加価値税10%+修繕費2%込)となっています。

 

【転売価格】

 

★Central Park

平均平米単価=3,054$/m2(付加価値税10%+修繕費2%+内装込)

 

★Grand Park(2019年販売開始のプロジェクト「Rainbow」)

平均平米単価=1,850$/m2~(付加価値税10%+修繕費2%込)

 

コロナの影響もありますが、現時点では上記のとおりです。販売当時の価格と比較した場合の価格上昇率でいうと、Central Parkが139%、Grand Parkの「Rainbow」は引渡前の権利転売で109%となります。

 

こちらも1bed 50平米で比較すると、Central Parkの販売価格は15万2,700$(約1,620万円)、Grand Parkの「Rainbow」は9万2,500$(約980万円)となります。

 

【利回り】

 

年間想定利回り

★Central Park=8.13%、

★Grand Park=「Rainbow」5.53%、「Origami」4.34%

 

年間実質利回り

★Central Park=7.44%

★Grand Park=「Rainbow」4.20%、「Origami」3.36%

 

GRAND Parkの場合は、客付に苦慮する可能性もあり、当面はインカムを求めるのは厳しいといえます。

購入&売却のタイミングの見極めが重要な1年に

Central ParkとGrand Parkの比較は上記のとおりです。ホーチミン市における、同等あるいは同時期の他プロジェクトと比較しても、ほぼ同じような結果が出ると思われます。逆にいうなら、2015年7月~2017年初旬頃までは、投資対象として比較的手ごろな物件が多くあったということです。

 

筆者が考察するにGrand Parkは、出口戦略としてインカムを考える場合、当面は期待できません。キャピタルについても、周辺のインフラ整備とベトナムの経済発展を「期待値」としてどう考えるかによります。いずれにせよ、長期戦略が必要な物件です。投資物件として検討するなら、ベトナム人向けに賃貸対応できる、出口戦略をしっかり持った管理運営のできる不動産会社が必要となるでしょう。

 

今年だけでなく、来年の不動産市場もコロナの影響は残ると思われますが、これまでも力強い成長を続けてきたベトナム経済は、しぶとい立ち直りを見せるものと期待されます。それに伴い、不動産市場も次第に回復していくでしょう。重要なのは、どのタイミングで物件を購入し、売却するかです。

 

現地不動産を扱う筆者から見ても、今年はとくに購入物件の見極めがむずかしいです。現地を視察し、実際に自分の目で見て「自分ならこの場所に住むだろうか?」と、いま一度考えてから購入することが重要です。不動産投資の成果は物件の見極め次第です。決して「負動産」を掴まないよう、しっかりと吟味してください。

 

VINA COMPASS Co., Ltd. General Director

沖縄県宮古島生まれ。久留米工業大学を卒業後、トヨタグループ系列の株式会社アイチコーポレーション入社。特殊車両メーカーの営業部門で16年勤務。
2004年、商談で訪れたベトナムホーチミンに魅了され、独立起業、単身にて渡越。 2006年、取引先の製薬会社と合弁で排水処理会社を設立。
国営事業であるホーチミン市病院排水処理事業の入札業者として認証を受け、在籍中235ヶ所の病院排水処理を手掛ける。2012年、合弁会社の株を売却。新たに浄排水処理会社としてSHINY VIETNAM社、不動産・建築会社としてSHINY REAL社を設立。現地企業やベトナム政府事業の実績を活かし、越人コミュニティに入り、浄排水処理事業を手掛ける傍ら、日系大手への環境コンサル支援や、現地最大手の不動産デベロッパー、VINHOMESの日系唯一の販売代理店としてCentral Parkプロジェクトの販売を手掛けた。2018年、SHINY社、合弁解消後、新たに独資でVINA COMPASS社を設立。不動産販売仲介、賃貸仲介、管理運営、内装工事、進出支援コンサル業を手掛ける。特に進出時の事業許可、会社設立時のリスクヘッジ関連を得意としている。

VINA COMPASS社ウェブサイト:http://www.vinacompass.com/

著者紹介

連載ASEAN諸国で最も熱いベトナム――現地から探る不動産投資と事業の可能性

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