コロナショック後…「勝ち残る会社・消滅する会社」の違いとは

コロナショックの収束が見えない現在、日本の中小企業は危機的状況に置かれています。しかし、ビジネスは常に平穏ではありません。どのような状況下においても、経営者が会社と従業員を守るには、したたかな戦略が必要です。現在の経営の問題点に気づくヒントを、自身も経営者であり、コンサルティングを業務とする筆者が解説します。

コロナショックで窮地に立たされる会社経営者たち

今回のコロナショックにより、多くの企業が存亡の危機に瀕している。東京商工リサーチの調査によると、2020年3月の全国企業倒産740件。これは7カ月連続の増加であり、「新型コロナウイルス」関連倒産は12件発生しているという。

 

上場企業のように比較的体力がある会社だったとしても、潰れるときは簡単に潰れる。リーマンショックが起きた2008年には40社以上の上場企業が倒産した。しかも、国内にある上場企業は、全企業の1%未満に過ぎず、ほとんどの会社は体力がない中小企業だ。企業規模が小さくなるほど景気などの影響も受けやすくなり、中小企業は毎年8000社以上が倒産している。

 

 

コロナショックによって日本経済がどれほどのダメージ受けることになるのか、現時点ではまだ判断できない。しかし、会社経営の現実として、倒産や廃業は決して縁遠いものではないということを多くの人が知ったのではないだろうか。

 

あああ
コロナショックは企業にどれほどのダメージを与えるのか…

会社を倒産に追いやる、3つの大きな原因とは

筆者はコンサルタントの仕事を通じて、様々な会社の倒産を見てきた。また追い詰められた会社もたくさん復活させてきた。その経験から、会社を倒産に追いやる大きな原因は3つあると思う。それは、以下のとおりである。

 

●人の問題

●資金の問題

●事業内容やビジネスモデルの問題

 

まず、一つめの人の問題についてだ。これはつまり、会社経営の属人的不安定性である。直接打撃を受けるものではないが、中小企業が安定的な経営を確立するために非常に重要なポイントだ。「採用は難しい」「人を育てるのは大変」「一人前になると独立していってしまう」ほとんどの経営者がそのように感じた経験を持っていることだろう。その中でも、中小企業を取り巻く環境は非常に厳しい。

 

仮にうまく人を雇えたとしても、その先には教育の問題がある。従業員を成長させるために、資金的に余裕のない中小企業が社員教育に十分な投資ができるだろうか。十分にできていると断言できる中小企業経営者はおそらくほとんどいないだろう。教育の仕組み化が進んでおらず、業務に余裕のない中小企業が求める人材は、すぐに現場で活躍できる即戦力である。そのためほとんどが中途採用となる。

 

しかし、ある人材サービスの会社の情報によれば、転職希望者の半数以上は、一つの会社にとどまらない流動的転職組で、自分がうまくいかないのは会社のせいと考える他責の意識が強い人たちが流動しているという。もちろん、中には素晴らしい人材を中途で雇用することも可能かもしれないが、会社を成長させたいのであれば新卒者を採れというのもうなずける。

中小企業に顕著な「スキル・ノウハウの属人化」

労働市場の変化は今後も中小企業の向かい風になるだろう。サービス業、接客業、製造業など、人の力が不可欠な業種はとくに影響を受ける。マンパワーに頼らず、果たしてこのまま経営を続けられるだろうか。それ以外の業種も決して安泰ではない。

 

例えば、営業職などは、経験、スキル、ノウハウ、人脈などが個人に蓄積される。稼ぎ頭の営業マンが辞めたらどうなるか。頭数の少ない中小企業にとって、次の戦力となる人材が育っていなければ経営状態は急激に悪化するだろう。

業界を問わず、どんな会社もスキルなどの属人化によって経営が立ち行かなくなるリスクを抱えているのだ。経営方針や営業戦略の立て方などが仕組み化されておらず、資金と情報の少ない中小企業は、経営そのものが属人化していると言えるだろう。

 

社長は経営だけではなく、営業本部長・経理部長・人事部長を兼任していることが多い。会社が仕組化されていないため、社長や各部署の責任者に成果が委ねられる。また、経済産業省のレポートによると、社長が60歳以上の中小企業のうち、3分の1の会社は後継者が決まっていない状態なのだという。

 

 

仮に黒字経営だったとしても、次を引き継ぐ人がいなければ廃業せざるを得ない。属人化は、目先の話として経営が傾く要因であり、長期的には会社の存続を危機にさらす。何かしらの対策をしない限り、自分、家族、従業員、従業員の家族にとって生活の基盤ともいえる会社を守っていくことはできないのだ。

人手不足や属人化を防ぐつもりが…設備投資はリスク大

人手不足や属人化を防ぐ方法がないわけではない。例えば、機械化である。全ての業務を機械化できないにしても、人の業務を減らせば人手不足は解消できる。製造や流通の現場ならIoTの導入で生産性を高められるだろうし、それ以外の細かな業務も、IT活用やAIの導入によって人がやってきた仕事を機械に任せられる。

 

しかし、問題もある。まず、設備などへの投資は決して安くない。IT関連の投資についても、大手企業では導入率も投資額も右肩上がりに増えているが、中小企業はほぼ横ばいだ。また、投資による効果が中小企業のような少人数では発揮されにくく、投資自体が見合わないことが多い。そう考えて二の足を踏む経営者は多い。

 

意を決して機械化やIT化に取り組んだ結果、成果が出ずに無駄な投資に終わるケースがある。筆者の顧問先でもIT化のために2000万円の投資をしたが、3ヵ月後にこのシステム運用責任者が辞めてしまった。以来3年経った今でも、このシステムは眠ったままでいる。

 

属人化に関しては、一般的には仕事の進め方を標準化したり、顧客の情報などを共有する仕組みを作ることによって防ぐことができる。しかし、これも大手企業向けの対策であって、中小企業の実態にはそぐわない。

 

ギリギリの人数で仕事を回している中で、誰が標準化の作業をするのか。また、人が足りていない業務や、誰かが辞めた後の穴埋めを、会社全員でカバーしているのが中小企業の実態だ。筆者が見てきた会社でも、社長自らが現場を駆けずり回っている会社がほとんどであった。その結果、経営戦略を立てる、ビジョンを作るといった経営者の本来の仕事に手が回らなくなる。会社としてどこに向かうかわからなくなり、ただやみくもに営業するだけの会社となり、土台から経営がぐらつくことも少なくないのだ。

経営に行き詰まる二つ目の理由は、やはり資金の問題

経営に行き詰まる二つ目の理由は、資金である。お金関連の問題は売上不振や債務超過など様々なものがあるが、その中でも筆者が重要だと思うのは貸し倒れだ。筆者も残念ながら年間数件の倒産の処理をするが、それらの会社の半数が貸し倒れによる連鎖倒産に該当する。

 

貸し倒れは、売掛金が回収不能になることによって発生するが、売掛金による取引を行っている中小企業は6人以上の会社の約98%である。この比率は、大手企業と中小企業でほとんど変わらない。

 

しかし、売掛金が貸し倒れになった時の影響は天と地ほど変わる。大手企業であれば、多少の貸し倒れが発生したとしても体力があるため吸収できる。しかし、資本力が弱い中小企業にとっては死活問題になる。目先の運転資金に回そうと思っていたお金が貸し倒れになることで、一発で倒産まで追いやられることがある。

 

実際、筆者が顧問をしている会社がそうだった。その会社は売上規模が5億円で、4500万円の貸し倒れが発生した。4500万円の貸し倒れは、売上が4500万円なくなるということではない。4500万円の利益を失うということだ。大企業ならともかく、中小企業の多くはこの規模のダメージに耐えられない。

 

また、貸し倒れによって現金が入金されない一方、仕入れ代金は支払わなければならない。この会社の場合は4000万円だった。年間売上5億円、粗利益5000万円のうち4500万円が、貸し倒れにより一瞬で消し飛び、この年4000万円の赤字を計上した。これまでの業績からすると回収するのに8年かかる計算になる。この会社も、たった一発の貸し倒れによりキャッシュが回らなくなり、銀行が手を引いて倒産間際まで追いやられることになった。

不良在庫の保有のために借り入れをしているケースも

決算書上、利益が1000万円出ている会社がある。当然利益が出ているから税金を納める。しかし不良在庫があれば、それは潜伏した損失である。この不良在庫を表面化させて大きな赤字を計上すれば、銀行の資金調達に多大なる影響を及ぼすため、処分しないで保有している会社も少なくない。また、これは粉飾決算にも該当しないため、基本的には合法であり、会社側がこの在庫はもう売れないと判断して廃棄するか、たたき売りするまで潜伏した損失は表面化しない。

 

この不良在庫は、銀行からの借り入れで保有していることが多く、この在庫を保有するために銀行から借り入れをしてその利息を払うこととなる。

 

また保管場所のコストもかかってくる。これらが膨らみすぎると、運転資金の融資枠を侵食し、調達が厳しくなり資金繰りが悪化する。資金繰りという点から見ると、在庫も売掛金と同じくらい経営をぐらつかせる要因になるのだ。

三つ目は、事業内容やビジネスモデルのミスマッチ

経営に行き詰まる三つ目の理由は、事業内容やビジネスモデルが時代や市場のニーズとマッチしないことである。労働市場の変化も早いが、消費市場の変化はもっと早い。消費者側の変化は、わかりやすく言えば生活環境とライフスタイルの変化だ。例えば、共働き夫婦の増加、未婚率の上昇、子供を持たない夫婦の増加、働く高齢者の増加といった変化により、暮らし方が変わり、ニーズが多様化している。今回のコロナショックの一件もしかりだ。

このような環境を生き抜いていくためには、時流をとらえた新しい商品やサービスを生み出していく必要がある。世の中では常に何かしらブームが起きている。ニーズの先取りとアイデアや行動力があれば変化の荒波を乗りこなせるかもしれない。しかし、ビジネスの寿命が短い。また、ヒット商品は「作ろう」と思って作れるものではない。新商品開発の難易度は高く場当たり的なアイデアで稼げるほど簡単ではない。仮に売れる商品やサービスができたとしても、ブームのあとは価格競争に巻き込まれ、高付加価値を追求するあまり利益が出なくなる。

 

ブームの期間が短いほど商品やサービスの開発にかけたお金が回収しづらくなる。慢性的な経営不振に陥っている会社は、この変化に対応できていないケースが多い。

1万円の商品を1万5000円で売れるか?

ニーズが多様化する一方で、市場そのものが縮小していく場合もある。市場が拡大しているなら、競合とともに売上を伸ばしていける。市場規模が変わらない場合も、やりようによっては競合とのシェア争いに勝ち、売上を伸ばせるかもしれない。しかし、自分や競合が利益を得ている市場が縮小した場合、勝ち残ったとしても売上は減る。利益が減り、経営が苦しくなり、倒産に追い込まれる可能性が大きくなる。わかりやすい例が日本の人口減少による市場の縮小である。

 

内閣府の統計によると、現在の日本の人口は1億2000万人ほどだ。しかし、2040年ごろには1億人前後まで減り、その20年後の2060年には8000万人台になるだろうと推計されている。現在の3分の2である。人が減れば需要が減り、市場は縮小するだろう。そのような状態で経営を続けていくには、どうすれば良いのだろうか。例えば、いまのビジネスの売上が1億円だったとしよう。何の対策もせずにそのビジネスを続けていけば、人口減少とともに売上が減っていく。それを避けるための最も単純な方法は、単価を1.5倍にすることだ。

 

一つ1万円で売っている商品を1万5000円で売れば、人口が3分の2になっても売上は維持できる。しかし、不可能ではないが、独占的な要因がない限り現実的にはその価格は市場に受け入れられないだろう。海外生産、流通の効率化により、安くていいものが素早く手に入る世の中では、単価を上げるのは現実的ではない。

市場は「消滅」することもある

市場が縮小するだけならまだしも、消滅する場合もある。これも時代や市場のニーズの変化から起きる問題である。時代の変化によって仕事が消えることは珍しくなく、その連鎖によって、世の中から消えていった市場はたくさんある。

 

この状況下でなくても、消えた市場や消えつつある市場をいくつも思いつくだろう。どんな市場であれ、永遠に存在すると断言できるものはない。仮にいまの事業で利益を得ている市場が消えていく市場だとしたら、どれだけ努力を重ねたところで企業の平均寿命まで生きられないだろう。

 

このような話をすると「変化なんか読めない」と思う人もいるかもしれないし、それはそうだと筆者も思う。未来の変化が予見できたら簡単に億万長者になれるが、現実的にそれは不可能である。重要なのは変化を先読みすることではなく、変化を想定外ではなく想定内にし、今とこれからの事業を考えることなのだ。

 

※本記事は、『デキル経営者だけが知っている “稼ぐ”コインランドリー経営』より一部を抜粋・再編集したものです。

 

鈴木 衛

株式会社ジーアイビー代表取締役

株式会社ジーアイビー 代表取締役

1970年1月10日生まれ。
大学在学中30歳で経営者となることを決意。
卒業後、経営の勉強と経営に必要な会計税務の知識構築の為に税理士事務所に入社。
成功するためには、業種ではなく経営者の考え方である事を認識。
また、税理士事務所がここまで中小企業の近い存在でありながら、税務会計の業務しか行わない事に不甲斐無さを覚える。
独立後、顧問先数社の取締役として経営に参画、そのうちの1社が10年間で売上が100倍に。

2000年 独立、中小企業のためのコンサルティング会社エムジェーシー設立。
2003年 税理士事務所開設、副所長に就任
2009年 大学院入学2011年経営学修士(MBA)修得。他学部へ再入学6年在籍後卒業。
2010年 株式会社ジーアイビー設立 代表取締役就任。
2014年 株式会社ジーシーエス設立 代表取締役就任。
2018年 センチュリオン税理士法人設立 副所長就任。
2018年 センチュリオングループ結成。会長に就任。

[趣味]モータースポーツ。アメリカンフットボール経験18年。
〔資格〕AACSB&AMBA認定 MBAホルダー
    法学修士

著者紹介

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幻冬舎メディアコンサルティング

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