リアルな住み心地は?家賃7万円台の「三軒茶屋」で意外な発見

どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身の会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、東急田園都市線の「三軒茶屋」駅。

「おしゃれ」と「ディープ」が同居する人気の街

「三軒茶屋」駅は東京都世田谷区にある、東急田園都市線と東急世田谷線の接続駅です。田園都市線駅は急行停車駅で、1日の乗降客数は14万人ほど。同線は「渋谷」「溝の口」に次ぐ第3位で、近年、利用者数が増加しています。

 

三軒茶屋の地名は、江戸時代、大山道の本道(現在の世田谷通り)と近道(今の国道246号線)の分岐点に信楽、角屋、田中屋の三軒の茶屋があったことに由来します。明治時代には、「渋谷」から「玉川」間で玉川電気鉄道が開通。関東大震災で被災した人たちが多く流入し、街は発展していきました。

 

「さんちゃ」という愛称で親しまれている「三軒茶屋」は、ドラマや映画の舞台に使われ、おしゃれなカフェやビストロなどが多いことから若者が集うイメージがあるでしょう。一方で、昔ながらの飲み屋や個店が多いのも特徴。下町人情も同居する、不思議な雰囲気がある街です。

 

また狂言師・野村萬斎氏が芸術監督を務める「世田谷パブリックシアター」や数々の有名ロックバウンドを生んだ老舗ライブハウス「三軒茶屋 Heaven's Door」など、芸術や音楽が身近にあふれる街です。2014年「三軒茶屋シネマ」を閉館になくなってしまいましたが、以前は映画館のある街でもありました。

 

「世田谷パブリックシアター」のある「キャロットタワー」は、高さ124mを誇る、街のランドマーク。最上階の展望スペースは入場料無料で、東京西部の街並みや遠く富士山まで見渡せます。

 

三軒茶屋は街のにぎわいに反して、駅周辺にはほかに目立った大型施設はありません。さんちゃを構成するのは、複数の個性豊かな商店街。下北沢まで続く茶沢通り沿いにあるのが「三軒茶屋銀座通り商店街」。馴染みあるチェーン店も多く、また大型スーパーがあり、使い勝手のいい商店街です。その先に「太子堂商店街」が続き、店が途切れるエリアもありますが、すぐに「下北沢」からのびる商店街が姿を表します。

 

ディープなさんちゃを楽しみたいなら、茶沢通りから1本奥に入った「すずらん通り商店会」や、世田谷通りと玉川通りに囲まれた、通称「三角地帯」へ。古民家を改装したビストロやカウンター席だけの居酒屋、美食家に評判の焼き鳥屋など、個性あふれる飲食店が多く集積するエリアで、独特の雰囲気を醸し出しています。

 

さんちゃのランドマーク、キャロットタワー
さんちゃのランドマーク、キャロットタワー

 

そんな「三軒茶屋」駅周辺の家賃水準をみていきましょう。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は7.75万円、11分を超えると7.02万円という水準です(図表1)。世田谷区全体の家賃水準と比較すると、「三軒茶屋」駅周辺は家賃の高いエリアだといえます。

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(4月20日時点)
[図表1]「三軒茶屋」駅周辺の平均家賃 出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(4月20日時点)
※単位は万円

 

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25~29歳で27.5万円、30~34歳で34.1万円です(図表2)。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、都内勤務30代前半は8.5万円です。

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」 ※10名以上の企業対象 ※数値は所定内給与額 ※単位は万円
[図表2]20代後半、30代前半の平均月給 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」
※10名以上の企業対象
※数値は所定内給与額
※単位は万円

 

「渋谷」駅から田園都市線急行で1駅ということを考えると、家賃水準の高さはうなずけますが、30代会社員であれば適正家賃内での居住が可能です。しかし大手ポータルサイトで検索すると、適正家賃内の物件は豊富に見つかりますが、専有面積は20m²以下、築年数も30年以上経過した築古物件で、リノベーションを施したものは築古でも適正家賃を超えるものでした。制限ある物件での居住で都会的な生活をえるか、価値観にもよりますが、会社員でも十分居住できるエリアだといえるでしょう。

生活回り品を買うには便利、でも買回り品はよその街で

交通の利便性を見てみましょう。「三軒茶屋」駅から「渋谷」駅へは、東急田園都市線利用で6分。東急田園都市線は「渋谷」で東京メトロ半蔵門線に相互乗り入れし、「永田町」15分、「大手町」25分と、都心へのアクセスも抜群です(所要時間は平日8時に「三軒茶屋」駅を出発した場合の目安)。また「渋谷」~「三軒茶屋」は直線距離で3kmほど。自転車があれば通勤できるほどの距離なのもポイントです。

 

次に生活利便性を見ていきましょう。駅周辺には「東急ストア」や「西友」などの大型スーパーや小型スーパー、ドラッグストアなどが集中。深夜0時を超えても営業している店舗もあり、単身者にはうれしい限り。また商店街には昔ながらの個店も多く、思わぬ掘り出し物が見つかる可能性も。最寄り品を購入するには、数えきれないほどの選択肢があります。一方で、街のにぎわいに対して、ファッションや雑貨などの店は少なく、渋谷など、ほかの街に出かける必要があります。

 

また三軒茶屋は飲食店が集積するエリア。単身者でも入りやすいチェーン店やファミリーレストランなど、豊富にそろうので、外食派の人でも駅周辺でお腹を満たすことができます。また個性豊かな地域密着型の飲食店も豊富で、毎晩、出かけたくなるほど。一方で駅周辺は繁華街的要素を含んでいるので、夜は治安がいいとはいえません。物件を選ぶ際には、街のにぎわいを避け、上馬2丁目、下馬2丁目あたりがおすすめ。家賃水準も低くなるので、物件を選びやすくなるでしょう。

 

「三軒茶屋」は、おしゃれなイメージにあったカフェやビストロが点在する一方で、三角地帯をはじめ、個性的な飲食店が集中するなど、独特の雰囲気をまとった街です。家賃は高いイメージがありますが、30代会社員であれば適正家賃となるエリアです。しかし専有面積は狭く、築古物件の居住が条件になります。交通、生活、双方の利便性も抜群なので、物件の制限さえ気にならなければ、都会的な生活が手に入ります。

GGOとは、GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)の略称。『あなたの財産を「守る」「増やす」「残す」ための総合情報サイト』を掲げ、企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営している(写真は編集長の立本正樹)。

著者紹介

連載データから紐解く「住みやすい街」

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