トキワ荘ゆかりの地「椎名町」…いまだに家賃はリーズナブル?

どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身の会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、西武池袋線の「椎名町」駅。

手塚治虫、藤子不二雄…有名漫画家を輩出した街

「椎名町」駅は東京都豊島区にある、西武池袋線「池袋」駅から1駅の駅です。1日の乗降客は2万人ほどで、各駅停車のみ停まります。

 

この地を全国的に有名にしたのは、戦後、間もないころに発生した帝銀事件。帝国銀行(のち三井銀行)椎名町支店で発生した毒物殺人事件です。帝銀事件後、椎名町のイメージが悪化したため、町名は長崎に変更されたそうです。

 

もうひとつ、この地は、著名な画家や詩人などが若いころを過ごした街として知られ、「池袋モンパルナス」と称されていました。モンパルナスとは、パリ14区、セーヌ川を挟んで反対側のモンマルトルとともに、芸術家が集う地として有名な場所です。そしてこの地には、かつてかの有名な「トキワ荘」があり、若き手塚治虫や藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら著名な漫画家が住んでいました。現在は、豊島区によって復元施設の建設が進められています。

 

椎名町は近年、訪日外国人の姿がちらほらと目立つようになったといいます。その秘密は、駅北口から徒歩10分にある「ファミリーイン西向」。旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で、全国的にも上位にランクインする外国人から人気の旅館です。わずか13室の小さな宿ですが、そのほとんどが外国人なのだとか。

 

駅東側に山手通りが走るほかは、周辺は細い路地が入り組んだような街並み。特に駅北口エリアは「椎名町駅前すずらん通り商店会」| 椎名町駅前中央通り商店会」「椎名町本通り商店会」など商店街が発展し、 夕方になると多くの買い物客でにぎわっています。一方で、駅南口エリアは、駅前にスーパーがあるほかは商店の集積はほとんど見られず、駅の北側と南側で生活の利便性に大きな差が感じられます。

 

世界的にも有名な漫画家を輩出した「椎名町」
世界的にも有名な漫画家を輩出した「椎名町」

 

そんな「椎名町」駅周辺の家賃水準をみていきましょう。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は6.12万円(図表1)。徒歩10分を超えると戸建てが中心となり、賃貸物件はあまりみられないエリアになります。豊島区全体の家賃水準と比較すると、豊島区では駅徒歩10分圏内の平均家賃は7.10万円。「椎名町」駅周辺は、豊島区内でも家賃水準がリーズナブルなエリアだといえます。

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(4月21日時点) ※単位は万円
[図表1]「椎名町」駅周辺の平均家賃 出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(4月21日時点)
※単位は万円

 

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25~29歳で27.5万円、30~34歳で34.1万円です(図表2)。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、都内勤務30代前半は8.5万円です。

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」 ※10名以上の企業対象 ※数値は所定内給与額 ※単位は万円
[図表2]20代後半、30代前半の平均月給 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」
※10名以上の企業対象
※数値は所定内給与額
※単位は万円

 

椎名町は、かつて、若手芸術家や漫画家が集った街。彼らは当然収入が少なく、家賃に多くのお金をかけることはできなかったでしょう。そのような人たちを受け入れた名残りがあるのか、「椎名町」駅周辺は区内平均よりも1万円ほど安い家賃水準。20代の若手会社員でも、駅チカ物件を十分に検討できる、財布に優しい街だといえそうです。

池袋まで徒歩圏内…買い物も飲食も「椎名町」以外で!?

交通の利便性をみてみましょう。「椎名町」駅から「池袋」駅へは、西武池袋線利用で3分。平日通勤時間帯には5分に1本ほどの割合で電車が来るので、電車が来なくてイライラ、ということもなさそうです。また「椎名町」と「池袋」と直線距離で1.5km、徒歩でも20分ほど。池袋周辺勤務であれば、交通機関を使う必要がないのも魅力です。

 

次に生活利便性を見ていきましょう。前出の通り、駅北口には商店街が発達し、地元密着型の個店を中心に生活密着型の店が集積しています。スーパーマーケットは北口に「サミット」南口に「マルマンストア」などがありますが、すべて駅周辺に集積しています。駅から離れた住宅街に買い物スポットが集まっているので、仕事帰りに立ち寄るというパターンが便利です。また飲食店も単身者には過不足ない程度には揃っています。ただ個店が中心でチェーン店は少なめ。北口エリアに集中しているので、南口エリアに居住の場合は、不便に感じるでしょう。

 

また前出の通り、商店街は個店が中心で、閉店時間は早め。スーパーで手に入るもの以外は、池袋周辺で買い物や飲食を済ませて帰宅、というパターンが便利かもしれません。

 

「椎名町」は、「池袋」駅から1駅、徒歩でも20分という距離感が魅力の街です。家賃水準も、繁華街の池袋に近接ながら、若手会社員でも余裕をもって検討できるほどリーズナブルです。しかし池袋近接がゆえ、生活パターンは池袋に依存しがちに。「椎名町」は池袋を生活圏内にしたい、という人におすすめの街といえそうです。

 

GGOとは、GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)の略称。『あなたの財産を「守る」「増やす」「残す」ための総合情報サイト』を掲げ、企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営している(写真は編集長の立本正樹)。

著者紹介

連載データから紐解く「住みやすい街」

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