もはや独立?「ハイソ世田谷」から逸脱した「千歳船橋」の今

どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身の会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、小田急小田原線沿線の「千歳船橋」駅。

昭和レトロ感あふれる、世田谷区の下町

「千歳船橋」駅は東京都世田谷区にある、小田急小田原線の駅です。以前は各駅停車のみの停車でしたが、現在はダイヤ改正により準急電車も停車します。1日の乗降人数は6万人ほど。この10年で約1万人増えています。

 

1927年(昭和2年)に開業した「千歳船橋」駅ですが、周辺に舟橋(河川の中に並べた船の上に板を敷いて造る仮設橋)が架けられていたことから、当初は「船橋」駅、とする予定だったとか。しかしすでに、千葉県の駅に同名称が使われていたので、旧村名の千歳村から名をとり、現在の名称が付けられました。

 

駅北口には「千歳船橋商店街」、南口には「千歳船橋参商会商店街」と2つの商店街が広がっています。そのうち北口の船橋1~3丁目あたりは、「森繁通り」として商店街活性化が進められました。その名前の通り、2009年に国民栄誉賞を受賞した故・森繁久弥さんにちなんだ通りで、森繁さんが船橋3丁目に長らく居住していたことから名づけられました。現在、森繁さんが居住していた邸宅付近はマンションになっているそうですが、閑静な住宅街の中を「烏山川緑道」などの遊歩道が走り、散策が楽しいエリアになっています。

 

駅の周辺に戻りましょう。商店は駅周辺に集積していますが、駅から西へ500mほどいった環状8号線付近まで断続的に商店街が続いています。世田谷区といえば、成城や二子玉川など、洗練されたイメージをもつ人も多いですが、「千歳船橋」駅の周辺は、細い道が張り巡らされていて、どこか下町情緒あふれる雰囲気が漂います。

 

昨今の商店街には、スーパーマーケットやコンビニの進出の影響で、生鮮食品店がなくなりつつありますが、ここ「千歳船橋」の駅周辺には顕在。ほかにも、昔ながらの定食屋や喫茶店、洋菓子店など、昭和レトロ感あふれる店が目立ちます。

 

商店街の周辺には、世田谷らしい高級マンションも点在する、閑静な住宅街が広がります。しかし駅南口の桜丘に「東京農業大学」があるため、南口エリアには学生ターゲットのリーズナブルな賃貸物件が集中します。

 

「千歳船橋」駅周辺
「千歳船橋」駅周辺

 

このような「千歳船橋」駅周辺の居住性をみていきましょう。まずは駅周辺の家賃相場です。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は6.61万円、11分を超えると6.05万円という水準です(図表1)。世田谷区全体の家賃水準と比較すると、「千歳船橋」駅周辺はリーズナブルなエリアだといえます。

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(4月20日時点)
[図表1]「千歳船橋」駅周辺の平均家賃 出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(4月20日時点)

 

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25~29歳で27.5万円、30~34歳で34.1万円です(図表2)。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、都内勤務30代前半は8.5万円です。

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」 ※10名以上の企業対象 ※数値は所定内給与額
[図表2]20代後半、30代前半の平均月給 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」
※10名以上の企業対象
※数値は所定内給与額

 

「千歳船橋」周辺は、世田谷区のイメージとは異なり、下町情緒あふれる雰囲気。家賃水準ものイメージ通り、リーズナブルなエリアです。若手の会社員でも居住を検討できる、良心的な街だといえるでしょう。

「駅周辺+環8沿い」の店で、生活充実度をアップ

交通の利便性をみてみましょう。「千歳船橋」駅から「新宿」駅へは、小田急小田原線利用で22分。小田急小田原線は「代々木上原」駅から東京メトロ千代田線と相互運転をしており、「表参道」駅17分、「国会議事堂前」駅24分、「大手町」駅32分と、都心へもダイレクトにアクセスできるのも魅力です(所要時間は平日8時に「東中野」駅を出発した場合の目安)。また平日の通勤時間帯には千代田線への直通電車を含め、だいたい5分間隔で電車が出発。電車の待ち時間でイライラすることもありません。

 

次に生活利便性を見ていきましょう。駅周辺には「Odakyu OX」や「オオゼキ」などのスーパーマーケットのほか、ドラッグストアチェーンが集中。普段の買い物は、駅周辺まででかけることになりそうです。また前出のとおり、商店街には生鮮食品店が残っていて、価格もリーズナブル。自炊派であれば、ぜひ、使いこなしたいところです。

 

また駅から西へ500mほどいった環状8号線沿いには、ロードサイド型の店舗が点在。これらの店も使いこなすことができれば、より充実したライフスタイルが送れそうです。

 

また「千歳船橋」駅周辺には飲食店も充実しています。気兼ねなく入ることのできる飲食チェーン店のほか、持ち帰るに便利な惣菜・弁当店が駅前に集中。また隣駅の「経堂」駅とともに、東京農業大学の最寄り駅でもあるので、居酒屋が多い印象です。

 

「千歳船橋」は、世田谷区の洗練されたイメージとはかけ離れた、昭和感あふれる雰囲気が魅力の街です。駅前に広がる商店街には、昭和30年代創業の個店がいまなお健在。街の個性をつくる重要なファクターになっています。家賃水準も街のイメージ通りのリーズナブルさ。「千歳船橋」周辺は、世田谷から独立したエリアと考えたほうがいい街かもしれません。

 

GGOとは、GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)の略称。『あなたの財産を「守る」「増やす」「残す」ための総合情報サイト』を掲げ、企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営している(写真は編集長の立本正樹)。

著者紹介

連載データから紐解く「住みやすい街」

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